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2024年3月31日 更新

大学院生への経済支援

博士学生への支援 

博士号の取得をめざす大学院博士課程(神戸大学では博士後期課程とよびます)在学生にとって最も充実した経済支援は日本学術振興会による特別研究員制度でしょう。博士後期に在学する3年間をフルにサポートするDC1と、博士後期2年次からの3年間をサポートするDC2の二種類の制度があります。DC1とDC2のどちらも研究奨励金として月額20万円が学生本人に支給されます。大学院の学費を含めて学生本人が生活するに十分な金額です。研究奨励金を卒業後に返済する必要はありません。これに加えて最大で年額150万円の研究費が科学研究費補助金として支給されます。特別研究員に選ばれた博士後期生は、まだ駆け出しではあっても、一人前の研究者または技術者として扱われるがゆえに、これらの手厚い支援を受けるのです。

特別研究員に採択された経歴は、企業研究者をめざす場合でも、国公立機関の研究者をめざす場合でも、高い研究能力の証しとして履歴書に堂々と記載できます。特別研究員の採用歴は、まもなく卒業する時点での学生個々に対する研究能力証明でもあります。研究者を採用する側からみたとき、大学入学時点の集団情報である偏差値に比べて、はるかに信頼できる情報です。

特別研究員となるためには日本学術振興会に研究計画を申請して採択されなければなりません。申請資格に所得制限はありません。どれだけ優秀な学生であるか、どれだけ挑戦的で意義のある研究をしようとしているかが問われます。2020年度には「化学」分野のDC1志望者351名に対して採択者69、DC2志望者532名に対して採択者104でした。

希望者は多く狭き門(採択率20%)ですが、本学化学専攻はこれまで多数の特別研究員を輩出しています。当研究室からもDC1一名とDC2一名が採用されています。あなたが博士課程に進学したいのであれば、特別研究員として採択される確率を高くするために指導教員は大いに努力をします。

選考においては、これまで教育をうけ、研究を進めるなかであげた業績も考慮されます。申請書はDC1であれば修士2年生の5月、DC2であれば博士1年生の5月に提出します。あなたが特別研究員をめざすならば、修士課程、望むらくは卒業研究のときから、そのつもりで研究に精励することを勧めます。学会発表や論文発表を積極的におこなって、ポスター賞や奨励賞にエントリーしていく姿勢が必要です。

特別研究員に採択されなかった博士後期生に対する神戸大学独自の支援として、学生本人へ月額15万円の支援金と、年額30万円の研究費を支給する制度(博士学生フェロー)が新設されました。卒業後に返済する必要はありません。博士学生フェローになるためには選考を通過する必要があります。

また研究室による支援として、博士学生を研究補助者に雇用し学費相当額の謝金を支給する用意があります。

そのほかの経済支援として日本学生支援機構による第一種奨学金があります。博士後期学生には月額12.2または8.0万円が利息なしで貸与されます。第一種奨学金を申請するためには、本人の所得金額にもとづく資格審査があります。申請者多数の場合に全員が受給できるとは限りません。在学中に優れた業績をあげた者に返還を免除する規定があり、2019年度に貸与を終了した2,232名のうち321名が全額免除、431名が半額免除となりました。

修士学生への支援 

修士課程(博士前期課程)に対してはDC1のような特別研究員制度はありません。日本学生支援機構による第一種奨学金を申請して採択されれば月額8.8または5.0万円が利息なしで貸与されます。第一種奨学金を申請するためには、本人の所得金額にもとづく資格審査があります。申請者多数の場合に全員が受給できるとは限りません。在学中に優れた業績をあげた者の返還を免除する規定があり、2018年度に貸与を終了した21,538名のうち1,456名が全額免除、5,005名が半額免除となりました。これまで当研究室を修了した者のうち2名が免除対象となっています。

博士課程・修士課程ともに、もし経済的なことが大学院進学の障害になるならば相談してください。入学金や授業料の減免制度を含めて、どのような対処法があるかをアドバイスします。

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