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2011年12月7日更新

学術講演会

2011年12月14日(水)16:00 理学研究科Z401講義室

溶媒和の効果に着目したナノシステム内の物性メカニズムの研究:統計力学理論解析
天野健一博士(京都大学エネルギー科学研究科・神戸大学理学研究科)

本発表では、溶媒和の効果に着目し、(1)シャペロニンGroELにおける基質タンパク質の挿入と放出のメカニズムと(2)溶媒中イジングシステムの研究発表を行う。(1)シャペロニンとは、筒の様な形をした機能性タンパク質であり、変性した基質タンパク質を筒の内部に取り込み、基質タンパク質が折りたたんだ後、それを筒内から放出する事ができる。しかし、シャペロニンの性質(現象)は分かっていてもそのメカニズムは未解明のままである。そこで、本研究では、溶媒和の効果に着目し、そのメカニズムの解明に取り組んだ。本研究によって、溶媒のエントロピックな効果で変性タンパク質の挿入が駆動され、エナジェティックな効果で折りたたまったタンパク質の放出が駆動される傾向にある事が分かった。(2)ナノテクノロジーの発展で、近年様々なナノシステム(ナノマテリアル)がつくられている。ここで、将来重要と思われる溶媒中イジングシステムに着目し、そのシステムが持つ基本的物性を研究した。溶媒中には、等間隔で溶質(or側鎖)が配置しており、溶質は上か下の2つの方向を向くことができる(必ずしも鉛直上向き・下向きである必要は無い)。本研究によって、その溶質集団の配向性が、条件によって、平行⇔ランダム⇔逆平行と移り変わる事を発見した。本発表では、溶質―溶質間の接触や折りたたみにおける溶媒のエントロピックな効果とその重要性も紹介し、如何に溶媒のエントロピックな効果が重要かも述べる。

ご来聴を歓迎いたします     

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