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2008年5月13日更新

神戸大学自然科学系先端融合研究環 創製分子光科学セミナー

2008年6月6日(金)瀧川学術交流会館2階大会議室

日々成長する姿がまぶしい大学院博士課程1年生と新進気鋭の大学教員を本年度第一回のセミナーにお招きしました。講演内容に専門的な関心をお持ちの大学院生・卒研生・教職員ばかりでなく、大学院生とはどんなことができる人たちなのかを知りたい学部1-3年生の参加を歓迎いたします。          

13:30 超短パルスレーザー分光で見る溶液中における分子の運動
山口小百合(神戸大学理学研究科富永研究室博士1年)

コップの中の水分子がどのような動きをしているのか考えたことがあるだろうか。我々の目で見れば、水は単なる透明な液体で、1秒経過したところで何の変化もないように思われる。しかし、微視的な観点で考えると、水分子は互いに水素結合で結ばれており、液相ではその結合の生成と開裂をピコ秒(10-12秒)の時間スケールで繰り返しながら揺らいでいるため、1秒も経過すれば全く異なる状況に変化している。我々の目では観測不可能なこの現象を、観測可能にする手段が「光」である。光の特性を活かし、超短パルスレーザー光を用いることで、時々刻々と変化する分子の運動を速い時間スケールで追跡することができる。私は特に赤外光を用いて、水素結合を形成する分子の振動運動に注目した研究を行っている。溶液中における分子の構造やエネルギー散逸過程に関わる水素結合の影響を明らかにすることが目的である。(質疑込35分)

14:20 ナノスケール物性計測へ向けた多探針原子間力顕微鏡システムの開発
常見英加(京都大学工学研究科松重研究室博士1年)

原子間力顕微鏡(AFM)は、試料表面の高分解能構造観察や電気、光学、力学特性のナノスケール評価手段として既に広く用いられている。一方、ナノ構造試料の多端子電気特性評価や、局所的な力学・電気刺激に対する応答の空間分布測定など、さらなる新規計測法への応用が望まれており、このような測定では複数のプローブを導入する必要がある。ナノ構造試料の多角的な電気特性・物性評価を目的として行ってきた、独立制御可能な複数の探針を有する高分解能AFMシステムの開発について現状を報告する。(質疑込35分)

15:10 時間分解紫外共鳴ラマン分光法でみる光受容タンパク質の構造ダイナミクス
水野操(大阪大学理学研究科水谷研究室助教)

タンパク質は構造を変化させ機能を発揮する。光受容タンパク質は、光に応答して機能を生み出す。タンパク質の機能発現のしくみを明らかにするには、逐次的に起こる構造変化を部位ごと、段階ごとに正しく理解する必要がある。本研究では、共鳴ラマン効果を利用して、タンパク骨格中に含まれている芳香族アミノ酸(チロシン・トリプトファン)残基、およびペプチド結合に由来する振動スペクトル変化をピコ秒時間分解測定し、光受容タンパク質の高次構造変化の初期ダイナミクスを調べた。(質疑込50分)

16:00 講演会場で気軽な懇親会(参加費500円、60分)

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