ごあいさつ―中国語への招待―

近年の中国の経済発展にはめざましいものがあります。現在、中国のGDP総額はアメリカに次いで世界第2位であり、日本の約2倍を超えています。また、輸出額は世界第1位、輸入額は世界第2位で、世界における存在感がますます強くなっています。今や中国は日本にとって貿易や直接投資の最大の相手国で、2年連続で増加しています。海外在留の日本人の数が多い国を見ると、米国に次いで中国は2番目になっており、中国に長期滞在する日本人の数は11万人を超えています(2019年現在)。中国の携帯電話契約数は2020年現在では17億を超え、世界で第1位となり、地球のどこへでも微信(WeChat)を使えば 簡単に通信・通話できるようになっています。アメリカや日本など世界の主要先進国の新聞の第1面に中国が出てくる頻度からも、中国がいかに重要な国であるかがわかるでしょう。
しかし、中国語は「漢字だから易しい」という風評に惑わされて履修する学生もあいかわらず少なくありません。たしかに、中国語は英語やフランス語などのインド・ヨーロッパ諸言語のような性・数・格も持たず、日本語の動詞や形容詞のような活用変化もないので、正しい語順といくつかの前置詞を覚えれば、かなりの程度の文章が読めるようにはなります。しかし、単音の発音が日本語話者にとって難しいほか、「声調=声の上がり下がり」によって意味を区別する発音システムなので、その習得は決して他の外国語と比べて易しいわけではありません。入門から基礎段階ではピンインと呼ばれるローマ字表記を用いての学習が基本であり、また、漢字も、字形が日本語と異なるもの、あるいは字形が同じでも意味が異なるものがたくさんあり、形と発音・意味を同時に覚えなければならないので、ボキャブラリーの蓄積の点においては他の外国語と同様の時間と労力を投入しなければならないでしょう。「易しそうだから」ではなく、「ちゃんと使える道具としてマスターしてやろう」という、高いモチベーションを持ち、積極的に取り組みましょう。
この地球で、中国語をファースト・ランゲージとして日常使っている人口は十数億を超えています。中国語が使えれば、世界の4分の1の人と交流したり、ビジネスをしたりできることになります。さあ、これからは教室内だけに限らず、HUB室やインターネット、そして中国留学へ、中国語によるコミュニケーションのステージをどんどん広げようではありませんか。