神戸大学

神戸大学 大学教育推進機構

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1. 英語外部試験案内

最終更新日 2025/3/10 文責:石川慎一郎


(1) なぜ大学生にとって英語外部試験の受験が必要なのか?
 高校までの英語学習の場合、英語力は学校内の定期試験や各種の模擬試験で継続的に測定されていました。皆さんは、その都度の試験の結果を受けて、自身の英語学習を調整してきたはずです。
大学でも、引き続き、英語の授業を受けていただくことになりますが、大学の評価はあくまでも学内基準に基づくもので、国際的な統一基準に基づき、皆さんの英語力の変化を継続的に測定・診断するものではありません。このため、自主的に英語の外部試験を受けて、自身の英語力の現在の水準と、変化のパタンを把握しておく必要があるわけです。

(2) 英語外部試験にはどのようなものがあるか?
 英語の能力を測る試験には様々なものがありますが、大学生の多くが受験しているのは、 (1)TOEIC( ト ー イ ッ ク )、 (2)TOEFL(トーフル)、(3)IELTS(アイエルツ)の3種の試験です。これらは米英のテスト機関が運営する国際的なテストで、スコアは、日本だけでなく、国際的に通用します。

◎TOEIC
TOEICは、リスニングとリーディング力を測るTOEIC Listening & Reading Test(以下、L/R)と、スピーキングとライティング力を測るTOEIC Speaking & Writing Test(以下、S/W)に分かれています。L/Rはマークテスト式で試験時間は約2時間、リスニング・リーディングが各495点、全体で990点満点です。S/Wはコンピュータ上で解答します。試験時間は約80分、スピーキング・ライティング各200点、合計400点満点です。公式試験の受験料は、L/Rが7,810円、S/Wが10,450円です。
◎TOEFL
TOEFLは4技能を1つのテストで測ります。コンピュータ上で解答する方式で、試験時間は約2時間(※試験のリニューアルで、試験時間が大幅に短縮されました)、4技能それぞれ30点、合計120点満点です。公式試験の受験料は195ドル(約29,200円)です。受験料は2025年4月に従来の245ドルから引き下げられました。
◎IELTS
IELTSも4技能を1つのテストで測ります。基本的には筆記式で、スピーキングのみ面接方式です。試験時間は約2時間45分で、得点ではなく、9段階でレベル判定がなされます。公式試験の受験料は27,500円です。

(3) どの試験を受ければよいのか?
 3つのテストは、いずれも現代英語の理解力・運用力を総合的測るテストですが、それぞれ異なった方向性を持っています。TOEICは、主としてビジネス場面で必要となる英語力を測ります。これに対し、TOEFLは主として米国の大学で必要となる英語力を、IELTSは主として英連邦の大学で必要となる英語力を測ります。
 このため、たとえば、同じリスニングでも、TOEICであれば,社内で会議室を予約したりミーティングの調整をしたりするといった内容を聞き取る問題が出され、TOEFLやIELTSであれば、大学の教務課でのやりとりや、大学の模擬講義などを聞き取る問題が出されます。
 このように説明すると、TOEICがやさしく、TOEFL/IELTSが難しいという印象を持つかもしれませんが、これらは英語を使う「場面」が異なっているだけで、そこに出てくる英語そのものの難度に大きな違いはありません。また、当然ながら、ビジネスの専門知識や、大学の研究の専門知識を必要とするものではありません。
 「どの試験を受ければよいか」ということについては、米国や英連邦の特定の大学への留学がすでに決まっているならTOEFLまたはIELTSを受験し、各大学が指定するスコアをクリアする必要があります。一方、将来的に留学の希望はあるものの、現時点ではまだ具体的な計画がない人や、日本での企業への就職にスコアを役立てたいと考えているならTOEICの受験が良いでしょう。国内の主要企業の多くがTOEICのスコアを採用や配属の資料としていますが、TOEFLやIELTSの知名度は低く、留学以外でスコアを使える範囲は非常に限定されます。
 神戸大学では、かつて学内でTOEICとTOEFLの(模擬)試験を受けられるようにしていましたが、受験者数はTOEICに大きく偏っていたことから、2025年度以降の学内実施の外部試験はTOEICに一本化することとしました。

(4) 「神戸大学TOEICテスト」とは?
 TOEIC L/Rについては、大学教育推進機構国際コミュニケーションセンターと神戸大学生協の共催により、学内で団体特別試験(institutional program=IP 試験)を実施しています。学内では、これを「神戸大学TOEIC® Listening & Reading IPテスト」(以下、「神戸大学TOEICテスト」と略記)と呼んでいます。
 「神戸大学TOEICテスト」の受験料は4,400円で、公式試験に比べると3,000円以上安価になっています。試験時間・問題内容・レベル・スコア基準は、公式試験とまったく同じで、多くの企業では、「神戸大学TOEICテスト」のスコアも公式テストのスコアと同様に扱っています。ただし、大学院入試でTOEICスコアの提出が求められる際は、多くの大学で、公式試験のスコアのみとなっているので注意してください。
 神戸大の新入生は、入学年度において、1回のみ、「神戸大学 TOEIC テスト」を1,500円の優待価格で受けることができます。学生の英語力向上を支援するため、大学が受験料の一部を補助する制度ですので、ぜひ活用してください。

(5) 一年生の前期に「神戸大学TOEIC テスト」を受けるべきなのはなぜか?
 TOEICを受ける最大の意味は、現在の自分の実力を国際水準で測り、それをスタートラインとして、将来の就職・進学・留学なども見据えながら、今後4年間の英語学習計画を自分自身で立てる点にあります。この点をふまえると、大学入学後の早い段階で、まず一回、「神戸大学TOEIC テスト」を受験することが重要です。
 4 月入学後、5月までに「神戸大学TOEICテスト」を受験し、基準点を超えた場合は、1年次後期の上級クラス(英語の能力と学習意欲が高い学生向けの選抜制英語特別クラス:ACE)の申請や、1年次後期の英語授業の単位授与制度(高得点者に限り、後期の英語授業の単位を授与する)の申請を行うことができます。
なお、学部によっては、4月ないし5月の特定の時点において、所属学生全員に受験を義務化しているところもあります。

(6) 「神戸大学TOEICテスト」で何点取ればいいのか?
 最近は、個人の英語力を、欧州言語共通参照枠(CEFR)のレベルで示すことが国際的に広がっています。神戸大学では、英語力に関して、卒業までにB2以上になることを学修の目安としています。
 990点満点のTOEIC L/Rテストにおいて、550点~780点がB1(Lower Independent:中級下)、785点~940点がB2(Upper Intermediate:中級上)、945点以上がC1(Proficient:上級)に相当します。本学の場合、多くの学生の入学時のレベルはB1程度ですので、在学中に600点前後から800点あたりまでスコアをあげることが学習上の目安の一つとなります。本学において1年次後期に上級クラスの履修を希望する者は、TOEICでおよそ650点以上、1年次後期の英語クラスの単位授与を希望する者は800点以上のスコアが必要になっています。

(7) 「神戸大学TOEICテスト」を受ける前の準備は?
 大学入試の英語と比べると、TOEIC L/Rは、問題のレベルや内容が大きく異なります。その意味で、入学後、「受験料補助」を受けて6月までに受験するのであれば、4~5月の時期を使って、事前に一定の対策をしておくことを強く薦めます。何の対策もなしで受けてしまうと、せっかくの受験機会が不本意な結果で終わってしまうことになりかねません。
 受験準備のサポートとして、神戸大学図書館には、各種の外部試験の解説書や問題集が豊富にそろっています。ぜひ、借りだして利用しましょう。実際の試験時間に合わせて一通り問題を解いてみることで、試験の流れや時間配分のコツをつかむことができます。さらに、神戸大学生協(書籍部)には、関連の書籍や、対策講座なども用意されています。必要に応じてこれらもうまく利用するとよいでしょう。
 なお、神戸大学で行われている英語の授業は、現代社会で必要となる「アカデミックイングリッシュ」の能力を多面的に養成することを目的にしたもので、外部試験の対策を意図したものではありませんが、日々の授業で学ぶ語彙や表現、また、各種の知見は、間接的に、試験準備にもつながるものです。

(8) 2025年度「神戸大学TOEICテスト」年間実施スケジュール




2. 英語辞書案内

最終更新日 2025/3/10 文責:石川慎一郎

辞書選びのポイント
 一般に、古いものを大事に使い続けることは美徳ですが、こと辞書については、改版のたびに内容が改善・改良されていますので、大学入学を機会に新しい辞書を揃えることを考えてみてもよいでしょう。大学生に用意してほしい辞書は、(1)中辞典、(2)大辞典、(3)英英辞典の3種類です。

◎英和中辞典
 日々の予習や復習に一番多く使用するのがこのレベルの辞書です。大修館書店の『ジーニアス英和辞典』(6版、2022)は日本の英語辞書学・英語語法学の伝統の最良の部分を継承した辞書で、詳細で明快な語法記述に定評があります。三省堂の『ウィズダム英和辞典』(4 版、2018)は、大規模電子データベースであるコーパスを全面的に活用した辞書で、現実の英語の姿を正確に再現することにウェイトが置かれています。
◎英和大辞典
 中型辞書はコンパクトで便利ですが、英字新聞や英語のニュースを理解し、さらには専門分野の論文などを読むには語彙量が不足しています。大学での英語学習に新たに必要になるのが大型辞書です。大修館書店の『ジーニアス英和大辞典』は、ジーニアスシリーズの最上位の辞書で、語の使用頻度をコーパスに基づき決定して記載するなど、ユニークな特徴を持っています。研究社の『新英和大辞典』(6版)は、収録語彙の幅も広く、百科事典的な項目も豊富に取り込んでいます。これらは、神戸大学図書館で使用することができます。
 辞書の世界では「大は小を兼ねる」わけではありません。中型辞書は英語を学ぶための辞書、大型辞書は英語で調べ物をするための辞書であり、使い分けが重要です。中型サイズながら大型辞書的な方向性で編纂された辞書に、研究社の『リーダーズ英和辞典』(3 版、2012)があります。
◎英英辞典
 英語のニュアンスを正しくつかむには、日本語に置き換えるのではなく、英語の定義を読むことが重要です。大学生であれば、英英辞書は必ず手元においていただきたいと思います。英英辞書の定番は、Oxford Advanced Learner’s Dictionary(10 版、2020)(※通称OALDオールド)、ロングマン社のLongman Dictionary of Contemporary English(6 版、2014)(※通称LDOCE:エルドス)、コリンズ社のCollins COBUILD Advanced Learner’s Dictionary(10 版、2023)(※通称Cobuildコウビルド)の 3 冊です。オックスフォードの辞書には、コンピュータ上の辞書サイトにアクセスできる権利が付属しています。

英語辞書についてもっとよく知るには
 英語の辞書をよく知ることは、英語をよく知ること、さらには英語学習のコツを学ぶことにもつながります。英語研究と辞書のかかわりに興味を持たれた方は、H. ジャクソン(著)、南出康世・石川慎一郎(監訳)『英語辞書学への招待』(大修館書店、2004)などの書籍に目を通してみることをお勧めします。


3. 海外短期外国語研修

総合系「グローバルチャレンジ実習」科目として、米国ワシントン大学研修と、国立台湾大学研修を実施しています。

2025年度「ワシントン大学夏季英語研修」紹介(PDF版)はここからダウンロードしてください。

2024年度「国立台湾大学春季英語研修」紹介(PDF版)はここからダウンロードしてください。


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