神戸大学

神戸大学 大学教育推進機構

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外国語について学び、外国語を使って、グローバルな世界へ

外国語第Ⅰ教育部会長 横川 博一 先生(国際コミュニケーションセンター・教授)

新入生のみなさん、ようこそ神戸大学へ。
気持ちも新たに、この節目をチャンスに、神戸大学でおおいに学ばれることを期待しています。
ところで、みなさんは、何か趣味や夢中になれるものがありますか。私の場合は、その一つが、舞台鑑賞です。

家賃も満足に払えない若きアーティストたちが、ビルのオーナーから滞納している家賃を支払うか出て行くか求められ、怒りの炎に燃え、彼らの感情は激しく高ぶります。


How we gonna pay? Last year's rent?
Zoom in as they burn the past to the ground
And feel the heat of the future's glow
When they act tough, you call their bluff
We re not gonna pay last year s rent!

(払えないよ、去年の家賃 / 過去を焼き尽くして、熱い未来を感じよう/ 人の心は冷たく、変化の風が吹き荒れる世の中 / 払うもんか、去年の家賃)
そんな彼らも、ドラッグ、エイズ、友人の死など、さまざまな問題に直面しながら、人を愛すること、生きることの喜びを見いだしていきます。やがて、こんな境地に至ります。

There is no future, there is no past
Thank God this moment’s not the last
There’s only us, there’s only this
Forget regret, or life is yours to miss
No other road, no other way
No day but today

(未来なんてない、過去なんてない / 今が続くことを感謝しよう / あるのは自分だけ、この瞬間しかない/後悔をしていると人生を逃してしまう / 他に道はない、方法もない / あるのは今日という日だけ)

そう、ご存じ、ミュージカル RENT の一場面です。ダンスと音楽と語りで表現される、若者たちの葛藤と熱情の思いに、私たちは共感します。ソローのことばを借りれば、the whole body is one sense, and imbibes delight through every pour -全身がひとつの感覚となって、あらゆる毛穴から歓喜を吸収する-という心境です。

私は、いつの頃からか、ミュージカルや舞台というものに惹かれるようになり、それが心の内なる世界を映しだし、表現されているのだということが少しずつ実感できるようになってきて、今ではすっかり演劇ファンとなりました。そんなことと相俟って、いろいろな戯曲や小説も読むようになり、日本語でも英語でも読書の量がぐっと増えていきました。そして、いくぶん読みの質も高まったように思います。

学生時代に、おおいに、英語で読んで、書いて、聞いて、話して、心が揺さぶられ、ことばを通じて誰かと響き合う、そんなプロセスをぜひ体感してみませんか。そうすれば、グローバルなものの見方や考え方がおのずと養われ、将来に確実につながっていく力を手に入れることができるでしょう。

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