only a Japanese version

2012年5月1日更新

創製光分子科学セミナー

2012年6月19日(火)15:10 理学研究科Z302講義室

特異ナノ構造を利用した光触媒材料の作製
勝又健一博士
(東京工業大学助教)

酸化チタンに代表される光触媒材料の活性を向上させる一つの手段として、電荷分離により生じた電子とホールの表面までの拡散距離を短くすることが挙げられる。これは、光触媒反応が表面反応であることからも容易に推察できる。我々のグループでは、特異的なナノ構造を有するナノシート、ナノチューブやナノ結晶に着目し研究を行ってきた。例えば、ソルボサーマル法を用いることでルチル型ナノチューブの合成に成功した。チューブは単結晶ではなく微結晶からなる多結晶のチューブであることが分かり、光触媒活性も向上した。また、グリコール酸チタン錯体を原料とし、オレイン酸ナトリウムを加えて水熱処理するとブルッカイトナノ結晶を合成できることがわかった。このナノ結晶は非常に高い結晶性を有し、また極性・非極性溶媒中に単分散する両親媒性を示した。高い光触媒活性も示すことから、ブルッカイトナノ粒子コーティング剤としての応用展開に期待できる。一方、固相法により合成した層状物質を剥離して作製した酸化物ナノシートは、高いアスペクト比と2次元的な平滑性を有している。この構造上の特長を利用して、高い透明性と耐久性を併せ持つセルフクリーニングガラスの開発を行った。チタニア系またはニオブ系ナノシートを用いることで優れた防汚機能を有するセルフクリーニングガラスを開発することに成功した。当日は、それぞれの形状や構造を利用した材料開発について、基礎的な知見から応用展開までを含めて紹介させていただく。

ご来聴を歓迎いたします     

PageTop