教授:鎌田 真司(かまだ しんじ)

学位:医学博士

担当授業科目

(学部)分子生物学、生物学演習I、生物学実験IIIA,B、特別研究A,B

(大学院)情報伝達機構特論、生命情報伝達概論II、生命情報伝達特論II、論文講究I,II、特定研究I,II、特定研究

(全学共通教育)教養原論「生命の営みと成り立ち」

研究の興味

 私たちは、私たちを取り巻く環境から絶えずストレスを受けながら生きています。放射線、紫外線や化学物質など、 物理的、化学的ストレスによって、生命の根源であるDNAは傷つけられています。細胞はDNA損傷の程度に応じて、修復、アポトーシス、細胞老化など、様 々な応答を示しながら、個体の生存を維持しています。DNA損傷レベルが低い場合は直ちに修復しますが、損傷レベルが高い場合は、二つの異なる細胞応答を 示します。一つはアポトーシスであり、DNA損傷を修復出来ないと判断された場合、細胞は自ら死を選びアポトーシスを起こします。そして、アポトーシスを 起こした細胞は、速やかに周りの細胞によって貪食され、生体に炎症反応が起きないようになっています。アポトーシスの制御異常によって、神経変性疾患や癌 が引き起されることから、アポトーシスは個体が生存するために非常に大切なものです。一方、DNA損傷を修復出来ない場合のもう一つの応答は、細胞老化で す。細胞老化は、ヒト繊維芽細胞を長期間培養した場合に起きる永久的な細胞増殖停止として定義され、この反応はテロメアの短縮によって引き起こされること が明らかとなりました。また、DNA損傷によって同様な現象が見られることがあり、更に、テロメアの短縮による細胞老化もDNA損傷反応によって起きるこ とが示され、細胞老化におけるDNA損傷の重要性に注目が集まっています。近年、細胞老化が癌化抑制機構の一つであることが示唆され、また、個体老化との 関係も指摘されていることなどから、その分子機構の解明は重要な研究テーマとなっています。DNA損傷はアポトーシスと細胞老化のどちらも引き起すことが できるにもかかわらず、どういう分子機構によって、両者の運命が決定されるのかということについては全く不明のままです。私たちは、アポトーシスと細胞老 化の運命決定の分子機構を解明することによって、ストレスに対する生命維持機構の本質に迫りたいと考えています。

主な研究テーマ

(1)カスパーゼによるアポトーシスと細胞周期制御
(2)DNA損傷によって引き起されるアポトーシスと細胞老化の分子機構の解明

最近の代表的な論文

  • Nakano, M., Nakashima A., Nagano, T., Ishikawa, S., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2013)
    Branched-chain amino acids enhance premature senescence through mammalian target of rapamycin complex I-mediated up regulation of p21 protein.
    PLoS ONE 8, e80411.
  • Nagano, T., Hashimoto, T., Nakashima, A., Hisanaga, S., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2013)
    Cyclin I is involved in the regulation of cell cycle progression.
    Cell Cycle 12, 2617-2624.
  • Kamada, S. (2013)
    Inhibitor of apoptosis proteins as E3 ligases for ubiquitin and NEDD8. (review)
    Biomol. Concepts 4, 161-171.
  • Nagano, T., Hashimoto, T., Nakashima, A., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2012)
    X-linked inhibitor of apoptosis protein mediates neddylation by itself but does not function as a NEDD8-E3 ligase for caspase-7.
    FEBS Lett. 586, 1612-1616.
  • Hashimoto, T., Juso, K., Nakano, M., Nagano, T., Kambayashi, S., Nakashima, A., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2012)
    Preferential Fas-mediated apoptotic execution at G1 phase: the resistance of mitotic cells to the cell death.
    Cell Death Dis. 3, e313.
  • Hashimoto, T., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2011)
    Contribution of caspase(s) to the cell cycle regulation at mitotic phase.
    PLoS ONE 6 (3), e18449.
  • Hashimoto, T., Yamauchi, L., Hunter, T., Kikkawa, U., and Kamada, S. (2008)
    Possible involvement of caspase-7 in cell cycle progression at mitosis.
    Genes Cells 13, 609-621.
  • Kamada, S., Kikkawa, U., Tsujimoto, Y., and Hunter, T. (2005)
    A-kinase-anchoring protein 95 functions as a potential carrier for the nuclear translocation of active caspase 3 through an enzyme-substrate-like association.
    Mol. Cell. Biol. 25, 9469-9477.
  • Kamada, S., Kikkawa, U., Tsujimoto, Y., and Hunter, T. (2005)
    Nuclear translocation of caspase-3 is dependent on its proteolytic activation and recognition of a substrate-like protein(s).
    J. Biol. Chem. 280, 857-860.

連絡先

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