お知らせ
グローバルネットワークセミナー「Preparing Thai Teachers for Diverse Classrooms: National Efforts and Global Implications」を開催しました
2024年10月29日、グローバルネットワークセミナーを開催しました。
講師には、チェンマイ大学助教授・神戸大学客員教授のNannaphat Saenghong博士をお迎えしました。「Preparing Thai Teachers for Diverse Classrooms: National Efforts and Global Implications」をテーマとした講演では、タイにおける多文化共生に向けた教師教育についてご講演いただきました。講演では、①タイにおける教師教育の背景、②タイの公教育における民族的多様性、③多文化教育に向けた教師教育、④多文化共生と持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の4つの観点から解説されました。
Saenghong博士はまず、タイにおける教師教育制度の基礎情報として、教師教育カリキュラムの構成、関連する教育政策や高等教育機関、教師教育をめぐる現在の課題などについて紹介されました。次に、タイには62を超える民族集団が暮らしていることを踏まえ、多様な民族的・文化的背景のもとで公教育をどのように運営し、教師をどのように育成していくべきかについて解説されました。特に、教育現場で教師が直面する課題として、言語的障壁や文化的感受性などが挙げられ、多様な背景を持つ子どもたちを包摂する学校教育を実現するためには、多文化主義(Multiculturalism)や多文化教育(Multicultural Education)の視点が重要であることが強調されました。また、教師教育が果たすべき役割として、教師の多文化理解の促進や、教室における多様性に対応するための実践的な訓練の重要性についても説明されました。さらに、タイ政府による多文化共生に向けた政策の変遷が紹介され、2017年の憲法改定を経て、多文化共生社会の実現に向けた姿勢が示されるようになったことが解説されました。一方で、多文化教育を含む教師教育カリキュラムの開発や、憲法・法律における多文化共生に関する規定など、依然として課題が残されていることも指摘されました。講演の終盤では、多文化共生に向けた教師教育とSDGsとの関係について、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標10「人や国の不平等をなくそう」の観点から解説されました。「誰ひとり取り残さない」包摂的な社会の実現に向け、教師教育が果たす重要な役割が改めて強調されました。
講演後の質疑応答では、学生からさまざまな質問が寄せられ、Saenghong博士から自身の経験やタイの教育事情を踏まえた丁寧な回答があり、活発な意見交換が行われました。本セミナーは、タイにおける民族的・文化的多様性と教師教育への理解を深めるとともに、多文化共生社会の実現に向けて教師教育が果たす役割について考える貴重な機会となりました。