お知らせ
国際セミナー「Managing Humanitarian and Development Projects under Uncertainty」を共催しました
2026年9月25日、グローバルネットワークプログラムが共催する「Managing Humanitarian and Development Projects under Uncertainty」を開催しました。講師には、UNICEFがホストするEducation Cannot Wait(ECW)のGrants Managerである大島義幸氏をお迎えしました。
セミナーでは、開発・人道支援プロジェクトを取り巻く状況が予期せず変化した際に、プロジェクト本来の目的を維持しながら、どのように適切な意思決定を行うかについて、ケース・スタディを通じて実践的に学びました。特に、状況の変化によって誰がリスクにさらされ、何を守る必要があるのかを特定すること、限られた情報と明示された前提に基づいて実行可能な対応策を比較すること、さらに対応策を決定した上で、その実施主体と見直しのタイミングを明確にすることの重要性が示されました。
ケース・スタディでは、開発・人道支援の現場で直面し得る4つの状況が取り上げられました。第1のケースでは、難民キャンプ運営プロジェクトを題材として、政府との協力関係を維持しながら、プロジェクトの目的や公的資金の適切な使用、調達手続の透明性をどのように確保するかが検討されました。第2のケースでは、障害のある子どもや若者を対象としたインクルーシブ・スポーツ事業を通じて、活動回数や機材の提供数だけでは捉えられない「社会的包摂」を、当事者自身が考える成果を尊重しながらどのように測定するかについて議論が行われました。 さらに、第3のケースでは、遠隔地の診療所への抗レトロウイルス薬の供給を例に、輸送経路や供給プロセスに予期せぬ問題が生じた場合にも医薬品を安定的に届けるための物流計画や緊急時対応について検討しました。第4のケースでは、政治危機によってドナーが政府関連事業への資金提供を突然停止した状況を想定し、ドナーの制約に対応しながら、HIV治療を受ける人々へのサービスを中断させないための緊急対応と移行計画について議論しました。
参加者は4つのグループに分かれて各ケースについて議論し、対応策とその理由、主要なリスク、最初に行動すべき主体と必要な合意、対応を見直すための条件について検討した後、全体で発表・意見交換を行いました。こうした議論を通じて、プロジェクト運営における意思決定には、根拠、適切な承認、明確な記録が必要であること、成果は活動の実施量だけではなく支援を受ける人々の視点から捉える必要があること、また緊急時対応には具体的な発動条件、責任主体、必要な資源をあらかじめ設定することの重要性が共有されました。さらに、プロジェクトの移行や終了に際しては、支援を受ける人々が必要なサービスを継続して利用できることを確認する必要性が強調されました。
当日は、対面で約25名、オンラインで約30名、計約55名の学生・教職員が参加しました。本セミナーは、開発・人道支援の現場で生じる不確実な状況に対して、限られた情報の中でリスクを把握し、支援を受ける人々への影響を考慮しながら、実行可能な対応策を検討・判断するプロセスについて実践的に学ぶ貴重な機会となりました。