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お知らせ

グローバルネットワークセミナー「The Ethnographic Turn in Translation Studies」を開催しました

2026年8月20日、グローバルネットワークセミナーを開催しました。

講師には、スペイン・サラマンカ大学のOvidi Carbonell i Cortés教授をお迎えし、「The Ethnographic Turn in Translation Studies」をテーマにご講演いただきました。

講演ではまず、翻訳・通訳研究の発展について概観されました。翻訳は単なる言語間の置き換えではなく、文化や社会の中で意味を媒介し、新たな価値や理解を生み出す営みであることが説明されるとともに、「形式的等価(formal equivalence)」と「動的等価(dynamic equivalence)」などの代表的な翻訳理論を取り上げながら、翻訳における文化的調整や受け手との関係について紹介されました。

続いて、近年の翻訳研究における「エスノグラフィック・ターン(Ethnographic Turn)」について講演が行われました。翻訳を単なるテキストの変換としてではなく、人々の生活、文化、歴史、社会的実践の中で捉える視点の重要性が示され、民族誌的調査を通して翻訳を取り巻く社会的・文化的背景を理解することの意義について説明されました。また、文学翻訳、法律翻訳、移民社会における翻訳、多言語都市、さらにはヨーロッパとアラブ世界の文化交流など、多様な事例を取り上げながら、翻訳が文化的アイデンティティや社会関係の形成に果たす役割について議論されました。

さらに、「Translational City(翻訳都市)」という概念を紹介し、多言語社会における翻訳の役割や、都市空間における言語景観、移民コミュニティ、公共空間における言語使用などについて説明されました。翻訳は異なる言語共同体を結びつけるだけでなく、文化的多様性や権力関係、社会的包摂といった問題とも深く関わっていることが示され、翻訳研究を社会・文化・政治的な文脈の中で捉える重要性が強調されました。

本セミナーは、翻訳を言語現象にとどまらず、文化・社会・歴史・権力関係との相互作用の中で捉える新たな視点について理解を深める貴重な機会となりました。また、翻訳研究や異文化コミュニケーションに関心を持つ学生・研究者にとって、民族誌的アプローチの可能性や今後の研究の方向性について考える有意義な機会となりました。