研究プロジェクト

統合的水資源管理のための「水土の知」を設える

総合地球環境学研究所 風水土イニシアティブ 基幹研究プロジェクト
平成23年度‐平成27年度

プロジェクトホームページ (総合地球環境学研究所)

世界の持続可能な水利用の長期ビジョン作成

CREST研究領域「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」
平成21年10月-平成26年度

灌漑農業は世界の農地の2割を占め,食糧生産においては4割を担う一方で世界の淡水資源の7割を消費しています.2050年の人口90億人時代に向け,農業は食糧増産の必要性に直面する一方で,国連のミレニアム・エコシステム・アセスメントによれば,現在の灌漑農地の水利用は15-35%が供給速度を超えており,窒素肥料の過剰使用も生物多様性をはじめとする地球環境の深刻な脅威となっています.

灌漑排水路は,漏水の防止や機能保全のための維持管理と性能向上が欠かせません.しかし実態は,維持管理の不良,水利用ルールの不在,塩害の深刻化など,慢性的な問題を抱えている農地が少なくありません.また2006年のオーストラリア南西部での干ばつや2010年のパキスタンの大洪水のように.近年では設計想定外の異常気象による壊滅的な被害も散見されるようになっています.

持続可能な水利用のためには,機能不全を起こしている灌漑農地を監視し,地域性を考慮しつつ改善法を提案していくことが大切です.そこで我々は時系列衛星画像を用いて全世界の灌漑農地の変化や作物の生育を10年以上に渡って分析することにしました.すると異常気象時と通常年の生育比較、灌漑農地内の生育の不均一性から、水管理の効率や構造的な問題が見えてきます.問題のある灌漑農地を特定し,優良地と比較で改善の余地を定量することで持続可能な水利用の見通しを立てていきます.

これら世界各地の灌漑農地に関する情報や問題は、幅広い分野の関係者との情報共有を目的とした世界灌漑農業アトラス WAIASS (World Atlas of Irrigation Agriculture for Sustainability Sciences)に蓄積され公開していく予定です。


大規模灌漑農地の総合塩害管理技術の開発

科学研究費補助金 基盤研究(B)(海外学術調査)
平成22年度-平成24年度

東南アジアを対象とした過去50年間の広域再解析気象データと村落レベル農業活動履歴の照合

京都大学東南アジア研究所共同研究 (タイプW: 萌芽型)
平成23年度-平成24年度

気象学の分野では、全世界の地点観測データを面的に展開した気象データ(再解析データ)が、温暖化メカニズムの解明等に広く用いられています。本研究では、東南アジア大陸部を対象に、過去数十年にわたる再解析気象データと地表面での農業被害との対応関係の照合を、下記の手順によって行っています。

(1)聞き取り調査や農業統計からの農業被害履歴情報の取得
(2)(1)と観測に基づく降雨分布データ等との対応関係の検討
(3)観測降水量データと再解析データとの突き合わせによる、農業被害が生じた際の降水量分布をもたらした気象メカニズムの分析

プロジェクト紹介ページ (東南アジア研究所)