オロバンキやフェリパンキはクロロフィルを持たない全寄生性です。ストライガは光合成を営む半寄生性ですが,自らの光合成によって獲得できるエネルギーは生存に必要なエネルギーの一部に過ぎません。光合成速度は他の1年生C3植物に比べて低くはないものの旺盛な成長を支えるには不十分なため(Inoue et al. 2013)、必要な光合成産物の3割を宿主に依存しており、オロバンキと同様に宿主から独立しては生存できません。そのため、これら根寄生雑草は寄生を確立した後で宿主に養水分を依存するだけでなく、生活環の初期の段階においてすでに宿主と密接に関係しています(図1)。種子は適当な温湿度条件下に数日置かれることで休眠から醒めます。このことはコンディショニングと呼ばれています。ストライガの場合、実験室では、蒸留水で飽和したガラス繊維濾紙上、30℃、暗所10−15日の処理で発芽応答は最大となります。さらに処理を続けると次第に応答が悪くなり休眠状態になります。オロバンキのコンディショニングの最適温度は、種にもよりますが、一般にストライガより低く20−25℃です。休眠から醒めている種子は、宿主作物の根から分泌される刺激物質を感受して発芽します。これは宿主から独立しては生存できない根寄生雑草が持つ、宿主の存在を確認してから発芽するという、巧妙な生存戦略と考えられてきました。根寄生雑草の種子は前述のように小さく、貯蔵養分が限られているため、発芽した後は直ちに吸器を形成して宿主植物の根に侵入しなくてはなりません。侵入後約6週間は土壌中で茎部の成長が続くため、根寄生雑草が地上に姿を現した時には宿主植物はすでに相当の害を被っています。その後、開花、結実し、前述のように膨大な数の種子を土壌表層にまき散らします。

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