センター長の挨拶 

センター長の写真

2022年4月より、これまでの「大学教育研究推進室」から「大学教育研究センター」へと新たに生まれ変わった組織のセンター長として、小職が就任することとなりました。現在は、小職を含め教員4名の小さな所帯ですが、教育学を専門とするメンバーの中に工学を専門とする小職が飛び込むことで、一種の化学反応が起こって新たな発想が生まれることを期待しつつ、「大学教育のマネジメントに貢献する」という当センターのミッション推進のために全力で邁進していく所存です。

中教審の「教学マネジメント指針」では、三つの指針(ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシー)に基づく体系的で組織的な大学教育を展開し、その成果を、学位を与える課程(学位プログラム)共通の考え方や尺度に則って点検・評価を行うことで、不断の改善に取り組むこと(=PDCAサイクル)と、学生の学修成果に関する情報や大学全体の教育成果に関する情報を的確に把握・測定し、教育活動の見直し等に適切に活用すること(=教学IR)が必要とされています。

PDCAサイクルは、私の専門的観点から見ればフィードバック制御のように見えますが、教学マネジメントが例えばロボットの制御のようにできるとはとても思えません。その理由は第一に、教育対象の学生が多様性に富むという点、これは少子化と大学進学率の増加とともにますます顕著になってきているとの印象を持ちます。次に学修成果の把握・測定の難しさです。アウトプット(結果)ではなくアウトカム(成果)だと言われますが、的確にアウトカムを測定する方法はまだ分かっていませんし、そもそも合理的・客観的に測定可能かどうかも分かりません。最後に、業務改善や品質改善を行う通常の企業組織と異なり、教育を担う大学組織はある程度自律性をもった部局、学科ごとの階層構造になっていることです。

このように大学における教学マネジメントの推進は一筋縄ではいかず、「ではどうすればよいのか?」を研究するのが当センターの重要な役目だと考えています。これまでの大学教育推進機構の先生方のご尽力によって導入され、現在も実施されている各種アンケートの仕組みや、新たに導入されるLMSなどもツールとして有効に活用することも考慮しつつ、本学の教学マネジメントの在り方を追求していきたいと思います。最後に、本学HPに掲載されている「神戸大学における内部質保証の基本的な考え方」の中で私が重要と感じた一節を引用させていただき、私からのご挨拶とさせていただきます。

「教育研究の質を保証し改善するのは、規則や制度ではなく、教育研究の主体である教員自身であることは論をまたない。また、大学の中核事業である教育研究活動等は、部局等を単位として実施されている(但し、全学単位で実施されている教育研究活動等は除く)。このため、まず、教員と教員集団である部局等が、自らの活動を真摯に点検・評価することが、神戸大学の内部質保証の出発点である。」

大学教育研究センター長
横小路 泰義

センターのミッション及び業務内容 

school ミッション

大学教育に関する基礎研究を通じて、神戸大学の教学マネジメントに貢献する

school 業務内容

  • check_circle大学教育の推進に係る調査・研究に関すること
  • check_circle大学教育の全体的な取り組みの企画・立案及び支援に関すること
  • check_circle大学教育に関する評価及びファカルティ・ディベロップメントに関すること
  • check_circle教学IRに係る調査・研究に関すること
  • check_circleその他大学教育研究センターの業務を実施するために必要なこと

(大学教育推進機構規則:第3条2より 2022年1月6日決定)

大学教育研究センター略歴

大学教育研究センター(以下、大教センター)のルーツは、1992年10月に設立された旧大学教育研究センター研究部です。この旧大学教育研究センターは旧教養部の改組に際して設置されたもので、現在の大教センターとはまったく別の組織であり、事業部と研究部から構成されました。研究部の主たる任務は、大学教育に関する基礎研究を行うことでした。他方、事業部は旧教養部の後継組織として神戸大学の全学共通授業科目に関わる企画、運営、評価などを行いました(現在の教養教育院に相当します)。

旧大学教育研究センターが2005年に現在の大学教育推進機構に改組されたのに伴い、研究部は同機構の大学教育支援研究推進室へと改組されました(2015年度からは大学教育研究推進室に改称)。その主たる任務は、全学教務委員会や全学評価・FD委員会などの運営、および教育部会の運営、大学教育改革全般の企画・立案組織へと次第に変化しました。

さらに2021年度には、大学教育推進機構の大幅拡充に伴い、傘下にさまざまな機能を持つセンター群が設置されました。大学教育研究推進室は現在の大教センターへと改組され、そのミッションを「大学教育に関する基礎研究を通じて、神戸大学の教学マネジメントに貢献する」と定義しました。まさに原点回帰です。大教センターは大学教育の設計、実施、評価という一連のプロセスを研究しつつ、その研究成果を神戸大学の教学運営に活かすという往還をめざしています。

ロゴの意味

ロゴ

大学教育研究センターのロゴは、大学での教育研究の象徴である博士帽(モルタルボード)に縦横8マスのチェス盤をあしらったものとしました。これには、当センターの英名の頭文字CHESと同じ発音であるというだけでなく、チェスをプレイするように戦略的に大学教育研究に取り組むという意味も込められています。