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授業形態の多様化時代における大学授業デザインの考え方

― 対面・ハイブリッド・遠隔をどう設計するか ―

🟦 第3章 ハイブリッド(対面)・(遠隔)―空間と時間をつなぐ授業デザイン

1. ハイブリッド形態とは

ハイブリッド形態は、1つの科目において、対面と遠隔の特性を組み合わせ、学習目的や学生の状況に応じて最適な学びをデザインできる授業形態です。

対面の対話性・臨場感と、遠隔の柔軟性・反復学習の利点を活かすことで、学生の多様な学習を支え、深い学びを促進します。

【例】セメスター制(15回授業)の場合

・10回分を対面、5回分を遠隔(オンデマンド)で実施 → [ハイブリッド(対面)]

・4回分を対面、11回分を遠隔(オンデマンド)で実施 → [ハイブリッド(遠隔)]

ハイブリッド形態は、対面と遠隔の特徴を活かして授業を実施できることが特徴です。ただし、学生に対面授業と遠隔授業の予定をあらかじめシラバスなどで明確に示しておくことが重要です。変更した場合なども「最新情報はBEEF +を参照すること」などと掲示しておくと混乱を招きません。

2. 授業デザインのポイント

① 対面授業を基本にしつつ、事前学習をオンデマンド動画で行う(反転授業型)

授業の「知識理解」や「基礎説明」を遠隔による動画で学習し、対面授業では応用・実践・ディスカッションなどに時間を充てる形式です。

【特徴】

  • 知識獲得において、学生が自分のペースで理解を補えるため、基礎の抜け漏れが減る
  • 対面の時間を学生同士/教員が集合しないとできない学びに集中できる
  • 知識を獲得した上で対面授業を実施するので議論が活性化し、学習者同士の相互作用が強化される

■授業デザインの注意点⚠️

  • 事前の動画による学習の“目的”を明示する
  • → 動画を見てくること自体が目的にならないよう、「次の対面で使う知識」「この授業内容の前提」などを伝える。

  • 動画と対面授業の内容を明確に結びつける構成にする
  • → 事前学習の活用場面(ディスカッション・演習)を意図的に設置。

  • LMSで教材を一元管理
  • → 動画・確認テスト・配布資料を同じ場所に置くと学習が途切れないようにする。

■授業実施の注意点⚠️

  • 事前学習を実施した前提で授業を進める
  • → 冒頭にミニクイズ・チェックテストを入れると視聴や理解の確認ができる

  • 対面時間では“説明”を増やさない
  • → 対面は「議論」を伴う学生同士/教員との相互作用のワークに集中する

  • 動画を見ていない学生への代替策を用意
  • → 当日ミニ要約を読ませる・ペア説明、などで対応。ただし、できるだけ見てくることを促すようにする

② 遠隔授業を基本にしながら、学期中数回だけ対面でワークショップを行う

普段はオンラインで講義・資料閲覧・課題を進め、必要な場面(ワークショップ、実技、プレゼン、グループ形成など)のみ対面で実施する形式です。

【特徴】

  • 学生の移動負担を減らしつつ対面でしか得られない交流・体験を用意する
  • オンライン部分で自分のペースでインプットして、対面回では、アウトプットの共有を中心とする
  • 分散キャンパス、留学生、遠方通学者、実習との両立など、学習継続を支援する

■授業デザインの注意点⚠️

  • 対面で何をするのかを明確に設計する
  • → 共同作業、成果発表会など「対面である必然性」を持たせる

  • オンライン回とのつながりを設計する
  • → オンラインでのインプット → 対面でのアウトプットの共有 → 振り返りの共有

  • 対面回のスケジュールを早期に共有する
  • → 学生の予定を調整しやすい

  • オンライン部分での学習のコントロールをする
  • → 対面回の授業の充実化を図るためにも、オンライン部分で単に動画を視聴するだけではなく、学習を確認するような仕組み(締切がある課題や掲示板での投稿など)をあらかじめ課しておき、学習の積み重ねを実感させる

■授業実施の注意点⚠️

  • 対面回では交流づくりを実施する
  • → オンライン中心だと学生同士が初対面で関係性が弱い場合は、対面時の授業の冒頭で簡単なアイスブレイクを実施する

  • ワークショップの指示を正確・簡潔にする
  • → 対面は時間が流れる速度が早いため、議論の時間などは随時時間を示しながら実施する

  • オンライン回の復習機会を確保する
  • → 対面での気づきを対面授業の終盤もしくはオンライン回で振り返る場を用意して、学習の定着を図ります

■ハイブリッド【対面】授業の事例

教育と社会(全学共通科目)

授業名 授業の流れ
1 【対面】イントロダクション

・講義中に適宜ミニディスカッション
→【個人思考 → ペア共有 → 全体共有】

・次回以降の遠隔回の進め方を説明

・BEEF+による資料・課題の提出方法を説明

・授業後にBEEF+より授業後の課題提出

2 【対面】社会化(各論1)

・講義中に適宜ミニディスカッション

・(授業内)小課題についてのグループディスカッションでは、Googleスライド(1グループ1枚)に議論の内容を書き込み、全体で共有

・授業後にBEEF+より授業後の課題提出

3 【遠隔】選抜・配分(各論2)

・講義動画(30分)

・資料を読み、理解度確認クイズを実施

・BEEF+掲示板に(授業内)小課題の回答を投稿

・視聴後にBEEF+より授業後の課題提出

4 【対面】階層(各論3)

・講義中に適宜ミニディスカッション

・(授業内)小課題についてのグループディスカッションでは、Googleスライドに議論の内容を書き込み、全体で共有

・授業後にBEEF+より授業後の課題提出

5 【対面】逸脱(各論4)

・講義動画(30分

・資料を読み、理解度確認クイズを実

・BEEF+掲示板に(授業内)小課題の回答を投稿

・掲示板で他者の投稿を参照し、コメントを2件付ける。

・視聴後にBEEF+より授業後の課題提出

6 【対面】ジェンダー(各論5)

・講義中に適宜ミニディスカッション

・(授業内)小課題についてのグループディスカッションでは、Googleスライドに議論の内容を書き込み、全体で共有

・授業後にBEEF+より授業後の課題提出

7 【対面】家族(各論6)

・講義動画(30分)

・資料を読み、理解度確認クイズを実施

・BEEF+掲示板に(授業内)小課題の回答を投稿

・視聴後にBEEF+より授業後の課題提出

8 【対面】まとめ

・授業の振り返り

・(授業内)小課題についてのグループディスカッションでは、Googleスライドに議論の内容を書き込み、全体で共有

・授業後にBEEF+より授業後の課題提出

💬よくある質問(Q&A)

Q1. ハイブリッド授業で学生が混乱しやすいのはなぜ?

A. 対面とオンラインで情報が分散するためです。シラバスの「計画」に遠隔と対面の日程がわかりやすく示されることが重要です。また、BEEF+には常に最新の情報を掲載しておくことが重要です。 BEEF+の「授業情報」や「お知らせ機能」を活用すると良いでしょう。

Q2. LMSはどのように活用できますか?

A. 学生が「どこに教材があるか」「どこで課題を出すか」を迷わないよう、授業前→中→後の構造を明示しましょう。

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