実験案内¶
A. ローレンツ力と金属線の共鳴振動 (部屋:C312)¶
ローレンツ力を見る¶
電流 I が流れる長さ L の弦に磁場 B が加わるとローレンツ力 F=I×B・ L が働く。中学理科ではフレミングの左手の法則として紹介され、実用的にも電力を動力への変換にはこの力が用いられている。本実験では、電流 I と磁場 B を実際に用意して (i) 弦のたわみでローレンツ力を定量的に検証 (ii) 交流電流を流して金属線の共鳴振動を観察 (iii) 電子ビームを曲げて比電荷の測定を行う。必要な知識はすべて高校物理で十分だが、測定誤差も含めて定量的に調べる。なお、使用するネオジム永久磁石は非常に強力で、大きな鉄製品を近づけると予想外に動いて危険である。そこで、磁石は設置場所からの移動は禁止である。
ローレンツ力による弦のたわみと金属線の共鳴振動の観察
B. 電気抵抗の温度変化(金属、半導体、超伝導体)(部屋:C311)¶
物質内の電子の流れを見る¶
物質は電気抵抗により、導体、半導体、絶縁体に分類される。本実験では、抵抗の大きさだけではなく、温度変化の振る舞いも全く異なることを測定を通して学ぶ。また、液体窒素(-196℃)を用いて、電気抵抗がゼロの不思議な現象、超伝導も体験してもらう。液体窒素による凍傷と熱湯による火傷に注意すること。
物質の電気抵抗率ρの温度変化
C. 水素原子のスペクトル(部屋:C310)¶
原子の構造を見る¶
この実験では、水素原子が発する光の波長を測定し、波長に関する不思議な規則性(バルマーの公式)を定量的に確認する。この規則性の発見は、量子力学という現代科学の重要な基礎、その歴史的な発端の一つである。やけどの恐れがあるため、スペクトルランプは触らない、近づかないこと。
水素原子のエネルギー準位とスペクトル系列
D. X線 (部屋:C303)¶
X線を見る¶
発見当初は正体不明の光線としてX線と名づけられた。現在では、X線は可視光と同じ電磁波の一種であることがわかっている。この実験ではX線の特徴の一つである、物質を透過しやすい性質を定量的に調べる。また、そのX線透過写真を撮影・現像することでX線の物質透過について定性的な理解を深める。X線は管理・利用方法が法的に定められた放射線でもあるので、実験室内でも厳格に規則にしたがってもらう。
世界初のレントゲン写真(左)と本実験で撮影するレントゲン写真(右)
E. 基礎電気測定 (部屋:C307)¶
回路を流れる電子の動きを見る¶
測りたい量を電気信号に変換して計測し、最終的にデジタル数値で記録するといったことは、現在、あらゆる分野で行われている。そこで、このテーマではその基礎知識を、DMM(デジタルマルチメータ、電気に関する量をデジタル表示)とオシロスコープ(電気信号の時間変化を画面表示)を使って学ぶ。
オシロスコープによるリサージュ図形の観察