ファクトブック
1. 他大学や他学部等にない独自性(強み)
本学は、「学理と実際の調和」を建学の理念とし、進取と自由の精神がみなぎる学府である。「真摯・自由・協同」の学風のもと、真理の探究を旨として学問の継承と発展に寄与し、人々の智と徳を高め、もって社会の基盤を築き、産業・経済を活発にするとともに、諸問題の解決に貢献してきた。この伝統を継承するとともに人文・人間科学系、社会科学系、自然科学系、生命医学系諸分野における強みを社会に活かし、「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」として進化・発展し続けることを本学の長期ビジョンとしている。
この長期ビジョンを実現するためには、構成員一人ひとりが教育研究・業務に持てる力を最大限に発揮できる多様性を尊重したインクルーシブな環境づくりが必要である。本学は、2018 年に神戸大学ダイバーシティ推進宣言を行い、ジェンダー、性的指向・性自認、エスニシティ、文化、宗教、言語、出自、年齢、学歴、心身の特徴などの属性や特性にかかわらず人間として尊重し、それぞれの個性や能力を発揮できる学習・教育・研究・就労環境の整備に努めてきたところである。
今後もより一層本学における学生、教職員等の健康の保持、増進を図ることと相まって、多様な属性の違いを活かし、個々の能力を最大限に引き出すことについて、全学的かつ継続的に取り組む必要がある。
そのため、これまで保健管理センター、キャンパスライフ支援センター及び男女共同参画推進室が各々で担っていた機能、業務を集約するとともに、本学のダイバーシティ及び保健管理に関する施策を推進する先導的組織として「インクルーシブキャンパス&ヘルスケアセンター」を設置し、付加価値を生み出し続ける大学を目指す。
保健管理部門(保健管理センター)
からだの健康相談
学内で発生した急な病気や外傷などに対する救急処置をはじめ、健康診断の結果に基づく再検査・精密検査についての相談や、日常の健康に関するあらゆる相談に対応している。必要に応じ、保健管理センターでの休養や外部医療機関へ紹介し連携を取りながらサポートしている。
こころの健康相談
医師、心理士によるメンタルヘルス支援をはじめとして、対人関係から日常生活のことまで多種多様な相談に応じている。必要に応じ、外部医療機関への紹介を行っている。 また、全学生を対象にメンタルヘルス不調の早期発見のためのWEB問診を行っている。
健康診断の実施
学校保健安全法、及び労働安全衛生法等の法令に基づき、学生、教職員に対して健康診断を実施している。また、健康診断結果に基づき、就業判定や保健指導などの事後措置を行っている。 必要に応じ、外部医療機関へ紹介し連携を図っている。結核等感染症発生時の接触者調査への協力や各種診断書発行、労災保険二次健康診断給付該当者への案内も行っている。
感染症対策
学校感染症予防対策、インフルエンザワクチン接種(職員対象)など学内の感染症対策の中心を担っている。感冒様症状者に係る届出制度を運用し、感染症に関する学内サーベイランスを継続的に実施している。 また、麻疹・風疹登録制度を運用し、学内発生・集団感染を防止している。感染拡大防止のため、6事業場(六甲台、深江、明石、住吉、大久保、加西地区)の職員へのインフルエンザワクチン予防接種も行っている。
産業医職場巡視・安全衛生委員会
産業医として、従業員の健康管理や安全衛生管理を担っている。六甲台、深江、明石、住吉、楠、名谷、ポートアイランド、大久保、加西地区の9事業場について産業医職場巡視、及び安全衛生委員会での意見陳述・調査指示・勧告を行っている。
長時間労働者に対する医師による面接指導
過重労働による脳・心臓疾患、メンタルヘルス不調等の健康障害の発症を予防するため、長時間労働者に対して、医師による面接指導を実施し、教職員が心身の健康障害から就労中断となる事態を防止している。
ストレスチェックの実施・面接指導
法律に基づき年1回、教職員に対してストレスチェックをWEBにより実施している。自己の気付きを促すとともにメンタルヘルス不調者に面談の機会を提供し、職場環境の改善・メンタルヘルス不調の防止を図っている。
復職・復学支援
病気休職者への復職支援として、復職前の産業医面談、復職判定や試し出勤プランへの関与、外部医療機関の主治医との連携等を行っている。また、必要に応じて復職後も産業医の面談を継続し再休職の予防を図っている。復学支援のための診察も行っている。
ハラスメント相談への対応
神戸大学ハラスメント相談員として教職員・学生のハラスメント相談に対応している。保健管理部門長はハラスメント防止・対策本部の構成員としても関与している。
総合的な保健管理の実施
大学生無料歯科健診、化学物質に係る学生特殊健康診断、若い頃からの継続的で計画的な健康づくりを進めるTHP ルームの開設など、健常人の健康増進も含めた総合的な保健管理をめざす独自の取組を行っている。 また、ホームページを用いて健康管理に有用な最新の情報提供を行っている。随時、利用者へのアンケート調査を実施して利用者のニーズに合わせた変更や見直しを行っている。
講義
海洋政策科学部において船舶衛生管理者資格取得に必要な科目「船舶衛生」を担っている。
障害学生支援部門(キャンパスライフ支援センター)
サポーター学生の育成
障害への理解をはじめ、多様な価値観を受容し、課題を理解する能力を身につけさせることを教育目的として、障害のある学生等を支援するためのピア学生を募集するとともに、サポート技術の習得や障害理解への学習会や外部機関と連携した研修会を実施している。
アクセシビリティリーダー論の開講
多様性を通じて創造する「知」の提供として、ダイバーシティ(多様性)とアクセシビリティの理解を発端とし、障害のあるなしに関わらない共生社会への理解につながることを目的とした授業として、全学共通授業科目の総合科目Ⅰ「アクセシビリティリーダー論Ⅰ」を開講している。
災害時を想定した避難誘導訓練の実施
毎年防災月間である9月に、障害のある学生を避難させるにあたっての注意点や、利用する避難用具の使い方等、特に身体障害のある学生を想定した避難訓練を実施している。
新任教職員研修の実施
神戸大学へ着任した教職員向けの研修において、障害者差別解消法及び障害への理解を深めるための研修資料を作成し、学内向けに公開している。
FD・SDの実施
アクセシビリティに関するe-learningプログラムを教職員に周知し、プログラム受講により、個人や社会の多様性、アクセシビリティについて理解を深める機会を提供している。 また、授業の一部を教職員に公開し、障害への理解を深めるためのPBL型のワークショップを開催している。さらに、オーダーメイド型のFD・SDとして、所属する障害のある学生に関連したテーマを設定した研修会を実施している。
ジェンダー平等推進部門(ジェンダー平等推進センター)
女性研究者の採用、昇任に関する支援
女性研究者増加部局へのインセンティブ経費支援、女性研究者を対象にした国際共同研究費支援、女性研究者の採用・昇任状況について国際外部評価をうけるといった取組を通して、女性研究者の採用・昇任を推進している。
ユネスコチェアの実施
ユネスコからの認証をうけた教育・研究プロジェクト「ジェンダーや脆弱性、ウェルビーイングを中心に据えた減災対策」をテーマに海外(インドネシア、台湾、タイ、マレーシア)の連携機関と共同で、学生への教育、国際共同研究の実施、減災ネットワークの拡大に努めている。
総合教養科目 男女共同参画とジェンダーの開講
さまざまな領域における課題ついてジェンダー概念を通じて考察し、男女共同参画及びジェンダー平等についての理解を深めることを目的に、全学共通授業科目の総合教養科目「男女共同参画とジェンダーA」「男女共同参画とジェンダーB」を開講している。
教職員を対象にしたワークライフバランス支援
研究支援員の雇用費を支援する制度、常勤パート研究職制度(常勤のまま、職務を削減し、給与もそれに連動される制度)、ベビーシッター派遣に係る割引券の配布サービス、一時預かり保育室の運営、オンラインでの介護個別相談等を行い、出産・育児、介護といったライフイベントの影響をできるだけ最小限にとどめ安心して研究、就労できる環境を整備している。
次世代の理系女性研究者の育成
女性研究者の研究紹介や女子学生との交流を図ることを目的に女子高校生を対象にしたオープンキャンパスや、女子中高生を対象にした科学実験を行うセミナー等の開催により、女子中高生の理系進路選択を進める取組を行っている。
2. 最近における特記事項
職域接種の実施(保健管理センター)
2020年初春から我が国においても新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。その後、2021年春以降、我が国においても全国的なワクチン接種実施体制が整い、本学においても2021年7月より2022年12月まで計7回に分けて、医学部附属病院関係者の協力を得てワクチン職域接種を実施した。近隣の複数の他大学関係者も接種対象として、合計29,000名(延べ人数)余りのワクチン接種を実施した。
多様な性・ジェンダーに関連する対応
「神戸大学における多様な性・ジェンダーに関する基本方針とガイドライン」の学内への周知を図るとともに相談窓口の開設をとおして、インクルーシブなキャンパスへの取組を行っている。