この装置は、ガスを圧力媒体とするため、等方圧を得ることができる
点と、容器が大きい(1L)ため、内部に温度勾配をつけて、実験後、
試料を低温部に落下急冷することができるのが特徴である。可能な温
度圧力条件は、1500℃、200MPaである。容積が大きいく、ガスが媒
体のために、水を含む系の実験では水素がカプセルから逃散して内部
の鉄が酸化する問題がある。二重カプセルにしてバッファすればある
程度酸化条件を制御できるが、 長時間の酸化条件バッファは困難で
ある。
熱水合成装置 (アトラスTZM炉)(圧力媒体が水)
・
減圧発泡結晶化実験(雲仙1991年噴出物)マグマ上昇速度の見積
・ 雲仙岳、リキダス斜長石組成の含水量依存性の決定
・ 結晶核形成速度、結晶成長速度に関する研究
この装置は、ガス圧装置での困難(酸化条件の制御)を回避できるもので、水を媒体としているため、水素が周囲に多く、酸化バッファが有効に使える。通常の熱水合成装置は高張力鋼を使用して900℃、300MPa程度までの条件しかできないが、最近使われるようになったこのTZM鋼は、より強度が大きく、1100℃、300MPaまでの実験をおこなえる。日本の地球系では東北大の中村美千彦さんと神戸にだけ入っている。酸素バッファはよいのだが、実験後の急冷は圧縮空気でボンブを冷却するもので、冷却速度が遅いため、玄武岩の試料では急冷結晶が生じる。差し当たり、雲仙岳デイサイトについての実験をおこなう。