神戸大学理学部地球惑星科学科
日本地球科学掘削コンソーシアム,ホームページ
我々の学科は,21世紀の地球科学の大きなプロジェクトである日本地球科学掘削コンソーシアムに正会員として加入しています.このプロジェクトは,掘削を通して以下に述べるような最先端の科学を推進するもので,学科として,掘削の提案,掘削船への研究者,院生の乗船,その他の活動を今後していきたいと考えています.コンソーシアムの中心をなすIODP部会は2,003年10月1日に発足し,10月6日には発足記念シンポジウムが東京で,10月25日には発足記念科学シンポジウムが神戸大学六甲ホールで開かれました (プログラム:http://www.aesto.or.jp/j-desc/oshirase_html/031025sympo.html ).今後,国際掘削で様々な目的の航海があり,特に院生等,若手の乗船参加希望者を募ります.
(2003.10.25 神戸大学六甲ホールで開かれた,IODP発足記念科学シンポジウムの風景)
(1)
日本地球科学掘削コンソーシアムとは: 日本の科学掘削を推進する目的で設置された組織で,大学,研究等国内の39機関等の会員から構成される.運営は財団法人地球科学技術総合推進機構によって運営される.IODP部会,陸上掘削部会,等からなる.HP:http://www.aesto.or.jp/j-desc/index.html
(2)
IODPとは: Integrated Ocean Drilling Program統合国際深海掘削計画の略で,日・米・欧がそれぞれ掘削船を用意し,それらを有機的に連携させながら,地球科学の次のような目的で掘削科学研究を推進するプロジェクト.
(a) 地殻の形成と進化の研究:特に海洋地殻の全断面掘削,初期島弧地殻の掘削等
(b) 深海堆積物の掘削による古環境の解析と気候変動予測
(c) 沈み込み帯の巨大断層帯掘削
(d)
地殻内生物圏の発見と生命の誕生:熱水,高温,高アルカリ等の条件での微生物
の発見とその生態,代謝機構の解明.
日本は現在建造中のライザー掘削船「ちきゅう」(6万トン)が2006年に竣工し,それを用いて,これまで未踏の深海掘削をおこなう予定であり,この計画はOD21と呼ばれる.「ちきゅう」は海洋科学技術センター(JAMSTEC)で運航される.IODPでは掘削船の乗船研究者が日本から年間50名程度必要であり,特に若手の乗船機会は増加するので,国際深海掘削に興味のある学生・院生は是非参加下さい.
IODPのホームページ: http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/odinfo/iodp_1.html
「ちきゅう」ホームページ:http://www.godi.co.jp/chikyu/index.htm
海洋科学技術センター(JAMSTEC)のホームページ:http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/index-j.html
(3)
当学科の地球科学掘削,海洋底研究への関わり
当学科では,以前に,安川克己教授(元南大阪大学学長),伊勢崎修弘助教授(現千葉大教授)が多数の院生・学生とともに海洋底研究をおこない,深海掘削計画にも,宇井忠英助教授(現北大教授),井口博夫助教授(現姫工大学教授),前川寛和助教授(現大阪府大教授)等が乗船研究をおこなってきた.近年は,島伸和助教授のグループが海洋底地球物理探査をおこなっている.兵頭政幸教授とそのグループは様々な掘削コアを用いた古環境復元をコアの残留磁化測定からすすめて多くの成果をあげてきた.今後も深海掘削計画コア試料を含めた研究を推進する予定である.また,佐藤博明教授は深海掘削計画第46航海に乗船,第111航海コアの陸上研究をおこない,現在は雲仙科学掘削に参加している.今後,コアを用いた海洋底玄武岩の溶融実験を行う予定である.さらに火山グループでは,これまで研究してきた南九州の巨大カルデラ噴火噴出物の海底掘削の提案を検討中である.
(文責: 佐藤,兵頭,鎌田)