ジャーナリズム・プログラムの狙い

神戸大学大学院法学研究科・法学部において、「ジャーナリズム・プログラム」が生まれてきた経緯について、ご説明したいと思います。

この授業は、五年以上前、当時まだ本学に在職しておられた五百籏頭眞名誉教授の夢から始まりました。その頃、法科大学院や公共政策大学院などの専門職大学院が各地に設立されつつあり、社会科学分野でも大学院における教育のあり方やそこで育成する人材について問われ始めていました。五百籏頭先生は、これからは大学院教育を充実させるべきであるが、そのために関西の社会科学系大学院は大同団結して一大拠点をつくるべきだとお考えでした。また、育てるのは研究者や公務員だけでなく、広い意味で公共に役立つ人材だと仰っていました。今でこそ、大学同士、あるいは大学と学外機関が協力する連携大学院が非常に流行っていますが、当時は、組織の壁を越えることなど、まだ難しく、この斬新な発想が具体化することはありませんでした。

他の大学・部局との協力が困難なのであれば単独でやるしかありません。小さな所帯ゆえ、できることからこつこつと考え直してみようということになりました。公務員養成は他の機関に任せよう、神戸大学の伝統を顧みれば、むしろ民間にあって「公」を考えるような人の育成を目指せないだろうか、それに一番適合するのは、ジャーナリストだ、ということで、まずジャーナリズム教育を始めることにしたのです。

そこからは一気呵成でした。五百籏頭先生が朝日新聞社の若宮啓文論説主幹に相談され、桐村英一郎先生をご紹介いただき、社として新しい授業(ジャーナリズム・ワークショップ1・2英文論説1・2)をご支援いただけることになりました。また、讀賣新聞社からは海外報道・英字新聞を軸に、そして、神戸新聞社からは地域報道を軸に、新しい講義(国際ジャーナリズム1・2国際報道1・2地域ジャーナリズム・ワークショップ)を設定していただくことが実現しました。さらに、2009年度からはプログラムが一層拡充され、朝日放送の小関道幸氏と言美幸一氏のご協力を得て放送ジャーナリズム・ワークショップ1・2を開講しており、今後は映像メディアに関する教育にも力を入れていきます。

本プログラムの授業を受講し、実際にジャーナリズムの世界に入っていった卒業生がすでに数名おり(→OB・OGの紹介)、教育効果も目に見える形で表れています。しかも、ジャーナリズム以外の進路に進んだ方にも、五百旗頭先生の構想にあったような民間にあって「公」を考えることができる人材として活躍している人々が数多くおられます。本研究科・学部としては、今後も当プログラムを拡充してまいる所存です。



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