都市と犬
天野 靖子
近年日本では、少子高齢化や単身世帯の増加、社会的ストレスの増大を背景とし、ペットブームが過熱している。ペットを飼育する目的が、防犯等の「実用」から、「癒し」へと移行し、ペットを単なる愛玩動物ではなく、「コンパニオン(共生)アニマル」とみなし家族同様に扱う人々が増大しているのである。特に犬を飼育する人が多く、内閣府による『動物愛護に関する世論調査』(平成15年)によると、ペットを飼育している者の内、62.4%が犬を飼育しており、中でも小型犬を室内で飼う人が増加している。
それに伴い、ペット市場においても、犬に関する商品、施設が注目されており、都市でのペット関連施設の増加が目立つ。その種類は、ペット飼育可のマンションや、ペット同伴可の施設、犬のしつけ教室等、多岐に渡る。犬飼育者のコミュニティ形成方法も変化しており、散歩途中の交流から、犬カフェといった都市施設利用者同士の交流やインターネット上での交流が盛んになっている。
一方、犬が苦手だという人も存在し、犬飼育者と非飼育者間のトラブルは絶えない。
このように、犬飼育者の増加に伴い、都市では犬飼育者と非飼育者の線引きが強化され、ペットの存在が人々の都市利用に影響を与えていると推測される。
そこで本研究では、ペット、特に犬に注目し、犬に関する都市施設及びその利用者双方の観点から、ペットが人々の都市空間利用にどのような影響を与えているのかを明らかにし、今後も増加するであろうペットとその飼育者、及び非飼育者が共存可能な都市のあり方を検討する。
具体的には以下の調査を行う。
1.ペットグッズ販売店、犬カフェ等、犬に関する施設へのフィールドワークを行い、都市における犬関連施設の現状を明らかにする。
2.犬飼育者にインタビュー、アンケート調査を行い、飼育以前と以後で都市空間利用にどのような変化があったかを調べる。