有配偶女性のライフコースと住宅所有
小早川 遥
戦後の日本では、「男性稼ぎ主」型の家族がメインストリームとして形成されてきた。その中で、男性は外で稼ぎ、女性は家事・育児を行い家庭運営の担い手として活躍することが期待された。結婚後退職し、出産することが女性の主要なライフコースとして提示され、多くの女性たちはそのライフコースを歩んできた。
さらに住宅所有においても、女性は、男性が主宰する世帯の一員とし、男性がローンを組み所有する持家に住むケースがほとんどだった。
しかし近年の日本では、女性の高学歴化が進み、男女雇用機会均等に関する法制度の整備が進むなど女性の就労機会が拡大した。また非正規雇用者の増大、年功序列・生涯雇用制度の崩壊、という雇用状況の変化により、男性の雇用の不安定化が進んでいる。そのため、戦後のメインストリームを形成してきた「男性稼ぎ主」型の家族の安定性が失われつつある。
このような背景の下、現在の女性のライフコースは一定ではなくなってきている。就労については、結婚・出産後も仕事を続けるのか、退職するのか、またはパート労働者として働くのか、など様々な選択肢が存在する。また、住宅所有についても、自分で住宅ローンを組む女性や、夫の名義だけでなく自分も名義を取得し、夫と共同で持家を取得する女性が出現している。
男性の雇用の不安定化は、男性が一人で住宅ローンを抱えることのリスクを高めている。また、デフレーション経済のもとでは住宅ローン返済期間を短縮する必要性が増している。そのことが持家取得における女性(妻)の就労の重要性を高めている。
そこで、本研究では有配偶女性のライフコースのパターンの分化を就労・出産・持家取得の三つの視点から明らかにする。さらに、そのパターンごとの経済・子育て・住まいの条件の違いを把握する。
調査方法としては、財団法人家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」の個票データを用いて分析を行う。また、いくつかのパターンの有配偶女性にインタビューによる事例調査を行うことで、就労・子育て・住まいなどの具体的な生活の状況を明らかにする。