1.サイバーシティとは
インターネットの発達により,都市における様々な活動がコンピュータネットワークを介して行われるようになった.これにより出現したネットワーク上の新たな都市空間がサイバーシティである.本研究では都市の表象であるサイバーシティと実際の都市との比較を行なう.それを通じてサイバーシティが都市をどのように表象するのかを検証していく.
方法として,最初に検索サイトの「Yahoo!JAPAN」で「神戸」を検索する.それによって得られたサイトの集合をサイバーシティ上の神戸(以下,「サイバーシティ神戸」)と定義し,実際の神戸との比較を行う.調査対象は「サイバーシティ神戸」を構成する1228件のサイトから無作為に半数を抽出し,重複したものやすでに存在しないものなどを除いた472件とした.
2.「サイバーシティ神戸」におけるサイトの性質
運営者ごとに「サイバーシティ神戸」のサイトの目的を調べた.個人では自己紹介,営利組織では営利組織紹介と店舗紹介,商品紹介,行政では行政組織紹介,非営利組織では組織紹介がそれぞれ大きな割合を占める.
ここから,「サイバーシティ神戸」は運営者による自己呈示が強調された空間であることがいえる.また,運営者のうち営利組織が最も多く,営利組織の自己呈示,つまりはコマーシャリズムの強調された空間でもあることがわかる.
3.「サイバーシティ神戸」における空間の分析
調査対象としたサイトには神戸市内の場所の情報が2529件掲載されている.それらを神戸市内の各町丁目ごとに分類し,個々の町丁目の登場回数,そこに含まれる場所の内容,その情報を掲載するサイトの運営者,目的をみる.
「サイバーシティ神戸」に登場する町丁目は,神戸市内の全町丁目の23.6%である.また,町丁目ごとの登場回数をみると,85%以上が1回から4回しか登場しない.これは紹介される場所が特定の地域に偏在していることを示す.そのうち,登場回数が5回以上の町丁目(84町丁目)について分析する.これらの個別の町丁目について,場所の内容のうち,1種類が全ての場所内容の50%以上を占める町丁目は67.9%である.また,それらの町丁目を紹介するサイトの運営者のうち,1種類の運営者が全運営者の50%以上を占める町丁目は71.4%になる.地域内ごとで紹介される場所の内容とそこを紹介する運営者が絞られ,純化していることがわかる.
次に,「サイバーシティ神戸」で特に多く登場する町丁目(30回以上登場する)をみる.これらの地域の80%が営利組織の運営するサイトによって主に紹介されている.また,その60%が「店舗紹介」を目的にもつサイトによって集中的に紹介されていることがわかる.ここでも「サイバーシティ神戸」におけるコマーシャリズムの強調という特性が見られる.
4.結論
本研究から明らかになったサイバーシティの表象の特性を以下4点にまとめる.
- 自己呈示の強調
- コマーシャリズムの強調
- 場所の偏在
- 場所の純化
これらの結果から,サイバーシティは実在の都市を忠実に表象したものではないことが分かる.実在の都市は連続性,複合性,多様性をもつものである.しかし,サイバーシティはその断片を切り取り,純化したものになっている.それは新しい都市空間とされているが,実際の都市とはかけ離れた存在であるといえる.