小学校の更新に伴うまちづくり

堀内 ちひろ


近年、教育現場では「地域との共生」の必要性が盛んに叫ばれている。それは、都市化する社会の中で家庭や地域での教育力が低下し、子どもたちの生活体験、社会体験が乏しくなってしまっていること、またそのような中で子どもと地域の関係が希薄になり、子どもの安全が懸念されているという現状を、地域の力を借りることで解決しようとしているためである。

地域のほうでも、現代の社会において地域の活動が不活性化し、近隣の人々と関係を築きにくい状態を解消しようと、人々が集まり、協力し合える場所を必要としている。 その相互関係があるため、小学校という場所を利用してコミュニティを形成する地域が増えている。例えば、「総合的な学習の時間」などの授業において積極的に地域の住民に参加してもらうこと。また、少子化の影響で使用されなくなった空き教室や学校施設を地域に開放することも珍しくない。更には廃校となった校舎をコミュニティ・ルームとして新たに利用する試みも各地で見られる。

その中に、小学校の建て替えや新築などの学校舎の物理的な変化を媒介とした、地域の関わりづくりがある。校舎の更新に際して、学校や行政側はもちろん、その学校の周辺住民や彼らによる組織が何らかの形で集まる、という状況が付随的に発生する。それをきっかけとして学校に関心を持ってもらい、今後の活動の礎にしようというのだ。建築には大きな力がある。特に「小学校」という建築は、「教育施設」であると同時に「住民のための公共施設」として全ての人が関わることの出来る大きな組織である。そのため、小学校という場所をただ利用するという行為以上に、街全体のつながりが強固になる可能性を秘めているといえるのではないだろうか。

高度経済成長期における子どもの増加により全国で一斉に大量に建てられた小学校舎が、3〜40年を経た今、一気に老朽化が進み、また構造上の問題や耐震性に懸念が出てきていること、地方都市で少子化により小学校が統廃合され、建て替え・新築されていること、一方で、都市部における高層住宅の建設増加により急に児童数が増え、増築を急ぐ小学校も現れている。こういった現在の状況において、これからの地域のあり方をふまえた小学校の建て替え、増・新築について考えることが今、必要とされているのではないだろうか。

そこで本研究では、近年(または現在)建て替え・新築された(している)小学校を取り上げ、建築計画中・建設後に住民、学校関係者をはじめとする関係者の発言、動きを調査し、また、建て替え・新築前後の周辺地域の状況の変化を調査することで、小学校の更新に関係者の声や力がいかに働き、小学校と周辺住民との関係やまち自体の運営にどのような変化や影響を与えるかを明らかにする。

そのために、本研究においてはまず、過去10年以内に神戸市内で建て替え・新築された校舎、または建築計画を練り始めた校舎を洗い出す。それらの場所を、既存の街・ニュータウン、形態を新設校・既存校で分類し、それぞれの場合における建て替え・新築計画当時の街の状況、住民参加の方法や、その後の継続的な関係構築のための努力などについて学校・地域組織の双方にインタビュー調査を行う。
 

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