世界的な環境問題の深刻化を背景に、作っては壊す消費型の社会から、既存のものを長く大切に使うストック型社会への転換が迫られている。
住宅においても、現在の日本の総住宅数は総世帯数を上回っており、今後はこれら既存の住宅ストックを活用していく必要性が高まるだろう。特に、高齢化率が23%を上回っている状況を鑑みれば、現在高齢者が保有する住宅をいかに循環させ、利用するかが重要な課題となる。
そこで本研究では、住宅の循環利用を促す一つのパターンとして、世代間の継承に焦点を当てる。
日本の近代化は、個人化・核家族化を伴ってきた。しかしその一方で、親の高齢化に伴う親子同居は依然として多く、近居の増加傾向も指摘されている。同居や近居は親の住宅ストックの継承に結びつき、その循環利用を促進する側面を持つ。また、老親の扶養、若い世代の住宅確保と子育てなどの面から、同居や近居は合理的な居住形態の一つとして、これからも選択されていくのではないだろうか。本研究は、現代の同居や近居の実態を把握し、それらが住宅ストックの循環利用を促進する性質を持つことを示そうとするものである。
なお調査方法としては、65歳以上の高齢者を対象に「住宅土地統計調査」と「国勢調査」等を用いて統計分析をしたのち、インタビュー調査を行うことで、同居に至った経緯や同居による住宅の継承の可能性について明らかにする。