首都圏の住宅市場におけるデッドストックについて

千代 真子


1990年代初めのバブル経済の崩壊とその後の長期にわたる景気低迷により、不動産の価格は下落の一途をたどり、住宅資産のデフレーションが進行している。また、住宅の過剰建設も住宅価格の低下を促進してきた。住宅が充足し、少子化により人口増加が鈍化しているにもかかわらず、経済成長を背景に構築されてきた戦後の住宅供給システムは、マンションの新規建設を促し、バブル崩壊後も住宅のストックを増加させ、供給過剰状態を維持してきた。

このような背景をうけて、大都市では、住宅市場の動きが回復する地域と、住宅の市場価値が低下する地域という、住宅市場の二極化が生じており、その格差は今後もさらに拡大していくと考えられる。近年、都心部では、住機能が高度化した新築の高層マンションの建設が増加しており、郊外の一戸建て住宅よりも交通利便性のよい都心部のマンションの需要が高まるといった、都心回帰現象が起きている。これらの現象は、郊外住宅地の空き家や価格の低下した物件などのデッドストックの増加を促進し、中古住宅市場における住宅価格の下落に拍車をかけている。

住宅価格の低下は、一戸建て住宅に比べマンション、特にバブル期に建設されたような中古マンションにおいて著しい。東京カンテイの中古マンション指数によると、東京圏では新築時価格を100としたとき、バブル最盛期の1991年築のマンションは2003年7月の時点で36.4と最も下落している。また、1000万円を下回る価格の「低廉化マンション」の存在が増加している。そして、価値の下がった物件が、取り壊しの対象となってきている。

経済の右肩上がりの成長がとまり、住宅需要の伸びが見込めなくなった今日、「何を新たに建てるのか」だけではなく、「デッドストックをどのように扱っていくのか」に着目するという見方がありうると考えられる。本研究では、空き家、低廉化マンション及び取り壊し住宅など、住宅市場における価値の著しく低い住宅の特性を明らかにし、現在の都市空間の動態を把握しようとするものである。

具体的な調査としては、以下の2点を計画している。



《メンバー・研究テーマ紹介》へ

-Home-