オランダはソフト・ドラッグが合法な国です。オランダで「カフェ」といったら普通の
      喫茶店のようなものですが、「コーヒーショップ」といっえばそれはドラッグを売買する
      店を表しています。ロッテルダムやユトレヒトでは目に付くところに「コーヒーショップ」の
      ような店がなかったので気に留めたことがなかったのですが、アムステルダムは
      中央駅のすぐ側にそうした店が沢山あります。また、「飾り窓地帯」という売春施設が
      集まっている地帯も駅からすぐのところにあったりします。
      オランダの町並みは、整然としたパリなどの都市と比べて、その下町っぽい
      ごちゃごちゃした感じや統一感のあまりない開発などが、日本を含めたアジアに少し
      似ているような気がしました。


      また、アムステルダムは深刻な住宅不足から運河に浮かべたハウスボートで生活
      するというハウスボート居住者が多く、市当局も許可してきました。現在では
アムステルダム
      近郊で2300もの
ハウスボートがあるといわれており、ハウスボートの保留許可証の発行は
      すでに停止されています。
そのため許可を受けたハウスボートは値段が高騰し、
      ハウスボートに住むということが一つのステータスになっていて空きを待っている人が
      たくさんいるそうです。日本で水上生活者というとき一般的に抱かれるイメージとは
      大分かけ離れているようです。


      




     
   
     アムステルダムには、オランダの近代建築の父といわれるH.P.ベルラーへの作品があります。
     ベルラーへの後、1920年代から30年代のアムステルダムでは、表現主義の建築家たち
      (アムステルダム派)が
活躍していました。デ・クラークやピエト・L・クラメルらがその代表です。



      アムステルダム株式取引所(1903)/H.P.ベルラーへ
       アムステルダムの目抜き通りに建つベルラーへの代表作。レンガ造の壁に鉄骨トラス・アーチ造
       ガラス張りの屋根が載った当時としては非常に斬新な作品でした。有名なホールは、現在は
       イベント会場になっており、私が訪れたときは「ハーレー・ダビッドソン展」をやっていました。

         



     ベルラーヘ橋/H.P.ベルラーヘ
            
          



     
     海運協会ビル(1916)/ヨハン・M・ファン・デル・メイ
       アムステルダム派の最初の建築物とされています。当時メイの事務所にいたクラメルとデ・クラーク
       の二人の力によるところが大きいといわれています。後の二人の作風と比べると少し装飾が多いように
       思いました。
 
         


   
     デ・ダヘラート集合住宅(1923)/P・L・クラメル&M・デ・クラーク
       労働者住宅供給公社デ・ダヘラートによる集合住宅郡です。「デ・ダヘラート」とは「夜明け」の
       ことだそうです。アムステルダム派を代表する二人による特徴のある住宅が表情豊かな街区を
       作り出していて壮観です。

         


 
     リートフェルト・アカデミー(1967)/G・T・リートフェルト、J・ファン・ディレン、ヨハン・ファン・トリヒト
        リートフェルトといえばロッテルダム派、デ・ステイルの代表的人物ですが、彼の手による建築が
        アムステルダムにもありました。リートフェルトは基本計画を担当しています。美術学校であり、
        ファサードは一面ガラスで覆われています。私が訪れたときは活気がないなあと思ったら
        どうやらお休みの日だったようです。

        



     ヴァン・ゴッホ美術館(1973)/G.T.リートフェルト、J・ファン・ディレン、ヨハン・ファン・トリヒト
        リートフェルトの最後の作品。基本設計の途中でリートフェルトはこの世を去りました。
        マッスが強調されたファサードと明快にゾーニングされた空間構成は20〜30年代の
        モダニズムからの影響を受けています。1999年に日本人建築家、黒川紀章によって
        増築棟が完成しています。

         

      
      


                                          

     子供の家(1960)/アルド・ファン・アイク
        10m角の2層のユニットといくつかの3.5m角の小ユニット二分接されたヴォリュームがオランダの
        構造主義を特徴付ける作品です。125名を収容できる孤児のための収容施設です。


       


     母の家(1978)/アルド・ファン・アイク
        この建築は「母の家」という名前ではありますが、ル・コルビュジエやR・ベンチューリの「母の家」とは
        少し事情が違います。元々はコールガール救済のための協会であったものが1970年代になって
        未婚の母の受け入れを始めたものなのです。19世紀の集合住宅に挿入されたこの建築には、
        親子のための宿舎やスタッフの宿泊施設、オフィス・スペースが含まれており、子供が利用する
        ことを考慮してか、円形や鋭角等の様々な形態と様々な色が使われています。

         


      サイエンス・センター“ニュー・メトロポリス”(1997)/R・ピアノ
        船そっくりな形態をしており、さらに水際に建っているため海側から見ると大きな船が停泊しているよう
        に見えます。コミュニケーション、エネルギー、技術などに関する常設・企画展示が行われるほか、
        最先端の科学をインタラクティブに伝えるデモンストレーションなども行われています。
        海際に建っているにもかかわらず塗装に銅版を使ったため数年で張り替えなければいけなかったこと
        に対して批判されたり、船そっくりの形態に対して賛否両論あったりと話題の多い建築ですが、アムステルダム
        中央駅の近くにあり国際線などに乗るとよく見えるため、非常に目立つランドマークにもなっています。
        
        


      
      ヴァン・ゴッホ美術館増築棟(1999)/黒川紀章
        リートフェルト設計の本館の背後に別棟として建設された建物。本館へはエスカレーターで
        地下からアクセスします。ヴァン・ゴッホが日本の浮世絵に影響を受けたことから日本人建築家が
        起用されたのではないかと考えられます。北側の渋い光の取り込み方などは日本的です。
        建物の外壁に落ちる深い陰影が印象深い建物でした。
  
         


      アイ・タワー&ショッピングセンター“ブラジル”(1998)/ノイトリング・リーダイク
         コーナー部分の切り込みがデザイン状の大きな特徴です。アイ・タワーは26階建ての集合住宅であり
         その足元の建物が波止場の倉庫を改修したショッピングセンターになっています。この建物の近辺には
         KPSM島の開発地区やボルネオ地区の開発がありますが、インフラ整備はまり進んでいないように感じたので
         このショッピングセンターは付近住民の生活の中核になっているのではないでしょうか。

        


      ボルネオ・スポールンブルグ開発(1997−)/ウエスト8(マスタープラン)
        招聘した20チームの建築家からなるウエスト8は、建築面積の半分をヴォイド空間としてデザインすること、
        使用する材料を同種の物にすることを規定しました。23haの土地に2300戸の住宅を建設する計画は、
        非常に高密なため(100戸/1ha)通常ならば倍くらいの高さになるところを、低層に抑えています。
        しかしそのために公共空間が少ないという批判などもあるようです。しかし個々の住宅は私的な中庭を持ち、
        都市住宅としては理想的といえる住環境を持つものになっています。

        


      KPSM島開発(1988)/ヨー・クーネン(マスター/プラン)
        東西に長細い形をしたKPSM島の中央にメインのアプローチを敷き、両側に合計5棟の建築物を配しています。
        
        ・ハンス・コールホフ棟(1994)/ハンス・コールホフ
           特徴的な林立する鋼管は、中庭へのアイ・ストップとして機能しているようです。
   
             
   
        ・ブリュノ・アルベール棟(1993)/ブリュノ・アルベール
           レンガ造・円形のポストモダン建築。

           

        ・ヨー・クーネン棟(1995)/ヨー・クーネン
           マスタープランを担当したヨー・クーネンの作品。日差しや風のことを考慮した深い庇が
           不規則な外壁パターンを作り出しています。

           
                                                                  

 




                   
Germany1へつづく