島団地再生事業


島団地は、1959年から1969年にかけて建設された
和歌山県御坊市内では最大規模の団地である。
築後30〜40年を経過し、現在建物の老朽化が激しい。

住戸は浴室を備えていないため、自費でベランダを改造して浴室に当てたり、
住戸自体が30平米強と狭小であるため、1階住戸などでは
増築によって居室を確保したりする例も見られる。


▼既存団地の様子
ベランダの増築。増築部分が老朽化している。
1階の増築部分が2階のベランダになっている





こうした問題に対処すべき再生計画の方向性として、以下の3点が提言された。
個別世帯へのソーシャルワーク・プログラム、
建替え事業を基軸としたハウジング・プログラム、
地域社会を支援するコミュニティ・プログラム
といった3つの領域における施策の“包括プログラム”を推進すること
そのためには、団地の問題に専念する“現地立地”かつ“横割り”の行政組織(島団地対策室)の設置が必要であること
対策室と専門家チームが行う包括プログラムに、住民参加を継続的かつ実質的に巻き込むこと

これに基づき、1992年4月に“現地立地”の行政組織として島団地対策室が発足した。この対策室と、現代計画大阪事務所・市内の4つの建築設計事務所からなる御坊連合・神戸大学平山研究室から構成される専門家チームが上記のような包括プログラムを推進する。
また、住民組織として「みなおし会」も発足し、みなおし会の関与を通じて住民が事業に参加するという回路が形成された。

また、1995年に建替え事業が開始され、住民参加を実質化するためにワークショップ方式が導入された。
ワークショップはこれまでに100回以上にわたって継続されてきた。
ワークショップの建築設計はコーポラティブ方式を採用している。



<建築設計の流れ>

1 専門家が入居世帯を訪問して住まい方調査を行い、将来の希望などをたずねる“個別訪問”
住棟のどの位置に誰が住むのかを決定する“陣取り”
個別世帯が自身の希望に基づいて居室部分のプランを設計する“間取りづくり”
上下階の構造壁、台所の位置を揃える“縦列調整”
コモンルーム・植樹・屋上庭園・外壁の色彩・ゴミの処理法・コミュニティ運営に関する“共用空間づくり”



▼ワークショップの様子
模型による説明
陣取りの様子
間取りヒアリング
外壁の色決めコンテストと決定案


▼専門家のヒアリングによるプランの変遷
住民案 ヒアリング・プラン 最終案





以上のような手法で、現在第4期までの住棟が建ち上がり、第5期が建設中、第5期・第6期のワークショップが継続中である。
完成した新団地は周辺と調和した「立体集落」として建ち上がり、

周辺地域との融合性を意図したボリューム計画と住棟の分節化
地域性に配慮した景観計画とデザイン
コミュニティ形成に配慮した囲み型配置
立体街路・コモンルーム・屋上庭園など共用空間の三次元的配置


などが特色となっている。


▲1〜5期全体計画
住棟を空中街路でつなぐ
囲み型配置
住棟の分節化…

▲第1期 外観

2世帯が2つの住戸を行き来しながら住んでいる

住民による植栽の溢れ出し

住棟間を空中廊下がつなぐ



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