神戸大学大学院国際協力研究科 復旦大学国際関係・公共事務学院 高麗大学校国際大学院

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リスクマネジメントセミナー「Managing Environmental Risks through Precautionary Approach: Strengthening Resilience to Address Externalities, Time Horizon, and Indirect Impacts」が開催されました。



 2012年12月4日、国際協力研究科棟大会議室にて、神戸大学キャンパスアジア・プログラムと国際開発学会関西支部の共催でリスクマネジメントセミナーが開催されました。第3回となる本セミナーには30人以上の方が参加され、国際環境NGO、コンサベーション・インターナショナル(以下、CI)・ジャパンの日比保史代表をお迎えし、英語での講演をしていただきました。

リスクマネジメントセミナー20121113-1
 日比代表はセミナーの冒頭で、1987年に創設され米国に本部があるコンサベーション・インターナショナルの概要について説明をされました。具体的には、CIに政策提言やフィールド実践など6つのイニシアティブがあることや、CIが優先度を高く設定している地域等の紹介が行われました。
 続いて日比代表は、世界的な議論の対象となっている気候変動や生物多様性減少、オゾン層破壊といった主要な地球環境問題の現状について、最新の科学的データを交えた詳しい解説を行いました。この中では、生物多様性が生態系サービスを保ち人類の福利に資するプロセスや、環境問題が貧困をはじめとする他の社会問題とどのように関係しあっているかについての説明も行われました。
 その上で、日比代表は現在の環境リスクに見られる特徴として、影響が地球規模に及びすべての人が当事者であること、原因と結果間の時間的ずれや因果関係の複雑さに起因する不確実性、環境が持つ外部性を考慮する必要があること、常に問題が相互に絡み合ったトレードオフの状態にあることなどを指摘されました。また、こうしたリスクに対するマネージメントの方策として導入されている「予防原則」や、「レジリアンス」の活用、「順応的管理」、「共通だが差異ある責任」といった概念を紹介されました。そして最後に、今後浮上してくると見られる環境リスクに関連する問題として、土地争奪に伴う生物生産性の低下や、遺伝子組み換え生物の影響、文化多様性の減少等について言及し、講演をまとめられました。
 セミナー最後の質疑応答の時間には、CIの具体的な活動や、国連の気候変動枠組み条約の締約国会議で繰り広げられる先進国と途上国の対立の問題等に関する質問が寄せられ、日比代表はCIが行っている革新的な資金調達スキームや、国際的枠組みのみに頼らない気候変動問題の解決に向けた新しい潮流について触れながら、一つ一つの質問に丁寧に応えられました。活発な意見交換で会場は多いに盛り上がり、本セミナーは環境問題をめぐるリスクマネージメントについて全般的な理解を深める大変有意義な機会となりました。
 質疑応答の時間には、キャンパスアジア・プログラムの学生を中心に、参加者からマレーシアにおける政府や市民社会の対応、マレーシアの周辺国の反応や、代替的な資源やエネルギーの可能性などの質問がなされました。活発な意見交換で会場は大いに盛り上がり、希少資源やエネルギーと環境リスクとの関係についてセミナー参加者が理解を深める、たいへん有意義な機会となりました。