・ 特別講義「全地球史解読」‘Decoding
the Earth history‘
教授 丸山茂徳 (東京工業大学)
Prof. Shigenori Maruyama (Tokyo
Institute of Technology)
=== 目的・方針 ================================
生命と地球の歴史の研究最前線を概説する
=== 内容 ================================
第1章 科学と技術の歴史
緒言:大学のもつ意味、学生(国民)の持つ権利と義務、君たちは今, 人類史/個
人史の何処にいるか
1ー1 科学の終焉(ジョン・ホーガン)
1ー2 近代科学の誕生と発展(図1:知識の系統樹)
1ー3 生物学と地球惑星科学の時代(図2:独立変数の数と複雑系の科学)
1ー4 社会科学と科学戦争(図3:社会科学は人間が関与した複雑な現象)
1ー5 科学と技術(図4:技術は科学の樹になる果実)
1ー6 科学の社会責任(社会は大学に何を求めるか?)
1ー7 国際情勢
21世紀はボーダーレスの時代
資本主義対資本主義の時代
技術文明は成熟・伝播の時代
1ー8 21世紀の人類の課題(世界人口と地球化学環境)
地球環境化学汚染の回復と世界人口の適正化
社会を含めた未来の設計・施工へ
1ー9 日本はこれから何処へゆく
第2章 全地球ダイナミクス(現在の地球)
2ー1 地球の多圏構造、構成要素とテクトニクス(大気・海洋・磁気圏も含む)
図1&2
2ー2 プレートテクトニクス
世界のプレート分布、サイズ(3000km径)、運動の記述、運動の原動
力、大陸プレートと海洋プレート、ホットスポット、海洋底拡大説からプレートテク
トニクスへ、古地磁気の貢献(みかけの極移動曲線と海洋底地磁気縞)
プレート境界過程(地震、火山、プルーム)、造山運動(大陸生成場と海
洋地殻生成場)
2ー2 プル−ムテクトニクス
地震トモグラフィーとその原理(深尾の図)、上下運動、巨大なサイズ
上部/下部マントル境界とスラブの滞留(トイレットフラッシュモデル)
2ー3 核のテクトニクス(成長テクトニクス)
2ー4 全地球ダイナミクス
地球内部物質大循環(図)、変動の階層性(図)
地球表層環境の変動(白亜紀の石油;北極と南極の大森林、海洋循環の停滞)
生物大量絶滅(図=古生代/中生代境界)
地球変動システムの原動力(図=3つの説)
第3章 地球誕生から冥王代まで
3ー1 太陽系の構造と惑星(図1=太陽系の構造と構成要素、井田原図、1996)
惑星の写真(一連のもの)、太陽の断面図、太陽の一生、カイパーベルトから発見されている
惑星のサイズと数。ゆり本/倉元(科学)
3ー2 原始太陽系の進化標準モデル(図2=原始太陽系星雲の誕生から惑星の誕生まで、
阿部、1995)、それに要する時間(ゆり本原図)
3ー3 地球の誕生とマグマオーシャン(図3=微惑星の衝突・融合による地球の成長と
マグマオーシャンの形成、阿部、1995)、マグマオーシャンの存在した証拠(月)、
地球にはあるか
3ー4 月、金星、火星の歴史(図4=地質学雑誌、地球型惑星のテクトニクスの進化)
これら3つの惑星の基礎的なデータの提示(地質図)
第4章 太古代と原生代
4ー1 地球史入門(図1=地質年代区分、図2=地球史七大事件と不連続的放熱事件、図3=地球上に残された記録)地球史を区分する変動の階層性とは何か(図2)、地球変動の4つの階層性(図3)、地球内部熱の大規模放出の記録をどうやって解明するか(図4)、地球史7大事件(海水の逆流ほか)
4ー2 世界最古の地質体、イスア付加体から何がわかるか(No.2=太古代の始まり)、世界の地質の重要性(図5)、イスア地質図(図6)、地質調査とはなにか?
付加体の復元と大陸地殻形成過程(PーT図とウエットソリダス)、付加体形成過程(図7)
4ー3 太古代(No.3=27億年前、マントルオーバーターン)地球磁場の成立(図8)、全、マントル対流の開始、浅海への生物の進出、酸素の増加
4ー4 原生代( No.4=初めての超大陸形成とマントルオーバーターン)、真核生物の誕生(図)、大陸の分裂、エデイアカラ生物群の誕生、史上最大の氷河時代(スノーボールアース)
第5章 顕生代
5ー1 顕生代の幕開けと海水の逆流開始((根拠:ベニオフ面上の温度の低下、図)、酸素濃度の上昇(図2枚)、陸地面積の増加(図)、海水準変動曲線(図)、オゾン層の形成と陸上への生物の進出(図)
5ー2 古生代 パンゲア超大陸の形成と分裂、生物の大量絶滅(光合成機能の故障)、太平洋の誕生と拡大/縮退
5ー3 中生代 大西洋の拡大と恐竜絶滅
5ー4 新生代 哺乳類の台頭と地球の除冷、氷河期の出現、未来の超大陸
第6章 生命の歴史と人類誕生
6ー1 生命史概観(図)生命史
6ー2 人類誕生
500万年前アフリカで、小プルームの誕生、偶然の繰り返し、人類史と気候変動(図)、ミランコビッチ周期と階層性、周期を乱す突発的なパルス、階層性の移行時間
6ー3 人類は宇宙で唯一の孤独な存在か?
何故あの時()、液体の水が40億年も存在した奇跡(大きな下部マントルと660kmの負の反応式;熱を除除に放出する仕組み)、強力な地球磁場がなぜ地球にだけ誕生したか?(月との相互作用、異常に大きな衛星が何故地球にだけ誕生したのか)、海水が逆流しなかったら、逆流しても適度な海水がなかったら(海水が多すぎたらだめ)
6ー4 人類の未来
地球の変動予測(長周期から短周期変動まで)、10万年周期の変動までほぼ解明
;未来100年を考えると1億年周期のスーパープルーム変動は視野に入れる必要あ
り。火山活動(南大平洋とアフリカ)。10万年未満の変動は地域性と突発的な火山
活動などのパルスが2万年周期のミランコビッチや海水準変動とリンクした海流の変
化、太陽の活動周期、太陽の突発的な活動変化、人類の大量化石燃料消費などが複合
して現れる。これをどう評価するかが課題。その為の国際プログラムが必要。
世界人口、科学の歴史、環境汚染()、科学と技術の関係、21世紀は未来を設計
する時代への転換点
新しい哲学の誕生、社会科学とは何か、解釈学からの脱却
付録(時間に余裕があれば)
第7章 火星の歴史
=== テキスト ================================
岩波書店地球惑星科学講座1ム14巻
生命と地球の歴史(丸山茂徳・磯崎行雄)、岩波新書543、1998
46億年 地球は何をしてきたか?(丸山茂徳)、地球を丸ごと考えるシリーズ、
2、岩波書店、1993
=== 履修要件 ================================
なし
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