モデルとなった城は、フランスのシノン城とイングランドとウエルズの境界にあるチェプストウ城である。私は昔、ウエールズの「首都」カーディフに住んでいたことがある。カーディフにも城があったが、ウエールズにはたくさんの中世の城があった。昔、イングランドがウエールズを侵略した時に、強大、富裕なイングランド側が建てた城で、立派なものが多い。ウエールズ側の城はあまり残っていない。チェプストウ城はそんな城の一つである。私はそこには行ったことがないが、有名なカーナボン城(皇太子、プリンス・オブ・ウエールズの即位式が行われた)、ハーレック城などには、特に感銘を受けた。どち らも荘重で重々しいのである。
西欧の建築とくに城を見て感心することは、石だけでよくあんな建物ができたのだなということである。塔のなかの螺旋階段を登っても、どのようにしてこんな物が作られたのかに興味があった。本書では、城の建設方法、攻撃方法、領主の(当時としては)豪勢な生活などが丁寧に紹介されている。もっとも私はあんな暗い建物に住みたいとは思わないが。攻撃法としてけっさくなものに、便所の穴から侵入するという方法がある。侵入し損なった敵兵で便所が詰まると大変だという話も紹介されている。刑罰の話もある。絞首刑ではなかなか死なないので、囚人は友人たちに足を引っ張ってくれるよう頼んだそうだ。首吊りの足を引っ張るのが親切な行為だとは知らなかった。
英国の本屋が日本とは違うという印象を持った点の一つとして、特に本書のような図鑑類が豊富なことがある。本書は比較的、薄い部類に属するが、店頭にはたくさんの分厚い図鑑が山積みされていた。ローマ人の生活と戦闘法とか、帆船の構造とか、さまざまな興味ある本が多かった。子供向きでもあろうが、大人が読んでも楽しめる。私も1,2冊は買って帰ったが、この種の本はかさばって重いので、それ以上は買えなかった。日本で、この種の本がもっと翻訳されたらいいと思うのだが、とても高くなるのではないだろうか。英国では、その分厚さの割りには安かったと記憶している。また内外価格差のグチになってしまった。