「世界はこうしてだまされた、さらばUFO神話」

高倉克祐著、悠飛社、1000円

 本書の著者、高倉克祐氏が本会の会員で雑誌ニュートンの副編集長である寺門和夫氏であることは、裏扉の写真と経歴紹介から明らかであろう。本書で著者はテレビディレクターの矢追純一氏のUFO番組や、宇宙空間研究家を自称するコンノケンイチ氏の著作を批判している。ところがコンノ氏は次の著作で、寺門氏がペンネームを使ったことを激しく避難する。高倉克祐とはだれだか調べたら、なんとニュートンの副編集長、寺門克祐ではないか!(もっとちゃんと調べろ!)もっともコンノケンイチだって、カタカナで名前を書くのなら一種のペンネームではないか。そのような場外乱闘も知ると、本書がよりおもしろく読めるであろう。

 本書で著者はUFOが宇宙人の乗り物、エイリアン・クラフトであるとする説は、一種の神話であるというスタンスから、さまざまなUFO例を批判的に検討する。NASAの宇宙飛行士がUFOにであったとか、アポロ13号は核爆弾を搭載していたため、UFOに破壊されたというコンノ氏の説を丁寧に論破している。コンノ氏が核爆弾と誤解したものは、実はプルトニウム電池なのだが、この論争はその後も尾を引いている。

 とんでもない本を研究する「と学会」の山本弘会長が、雑誌「宝島30」の読者欄で、コンノ氏とこの件で場外乱闘を繰り広げている。科学朝日にも、と学会のコーナーがある。山本さんはもちろん、プルトニウム電池派である。またパソコン通信ニフティー・サーブのSFフォーラム、FSF3の8番会議室「超科学お笑い劇場よ永遠に」でも、山本氏がアップしている。

 コンノ氏は、UFOのみでなく、アインシュタインやビッグ・バン宇宙論は間違っているという、疑似科学の流行作家として、あちこちでケンカを売っている。というよりは、それで食べているようにも思える。

 NASAは太陽系に関するさまざまな秘密を隠しているとこれらのUFO論者はいう。たとえば月にはUFOの基地があるとか、火星に人面岩があるとか、火星の空は本当は青いとか、金星には人が住めるとか、NASAはそれをしっていながら隠しているというのだ。NASAを良く知る著者は、NASAは秘密をかくせるような組織ではないことを指摘する。


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