ところで、なにが困るって、ここまで読んだ人は著者の志水氏が、バリバリのオカルト擁護者と思うであろう。それがまったく逆なのである。志水氏はたとえば1994年の科学朝日で、朝日メディカルの編集者久保田氏と一年間の対談を行い、オカルトをメタメタに切っているオカルト批判の人なのである。「UFOの嘘」「大予言の嘘」など、一連の疑似科学批判の著作がある。なかなかの見識を持った人物だと思える。しかし本書はいけない。本書を書いた理由は、大槻教授が嫌いだ、というこの一点しかないように思えてしまうからである。
ところで先の久保田氏も科学朝日の3月号で、大槻批判の記事を書いているから、大槻さんは、そのあまりに断定的なオカルト批判のスタイルで、オカルト派は当然として、反オカルト派の一部の人にも反感を持たれているようだ。
それでは志水氏は宜保愛子さんの超能力を認めるのかというと、かならずしもそうでないのは、上に述べた経歴からして当然であろう。実際、本のカバーには「この本は、宜保愛子さんを援護するためにかかれているのではありません」と書いてある。それじゃ、この本はなんなんだ。大槻さんに対する悪口の集大成でしかない。著者がどう思おうと、本書の果たす客観的な役割は、宜保擁護、オカルト擁護以外のなにものでもない。志水氏のこれまでの経歴に傷がつく本である。非生産的な、困った本である。