「宜保愛子いじめを斬る!!オカルト論争解明マニュアル」

志水一夫著、スタジオ・シップ、1000円

 はなはだ困った本である。内容は、要するに大槻義彦教授バッシング、これにつきるのである。大槻さんをキョージュと一貫して呼んで、批判、からかい、嘲笑の対象にしている。大槻さんのオカルト批判のさまざまだけでなく、個人的なことまで持ち出して糾弾するのである。本書の前書きをオカルト・ファンを自称する大槻ケンヂ氏が書いているが、そのケンヂ氏をして「そこまで言わんでもいーじゃない」と辟易させるほど、著者の志水氏の大槻攻撃は、ケンカ腰である。「オカルトファンの僕が引いちゃうんだから、たまたま本書を手にした世間の人々は、さらにオカルトに対して引いちゃうんじゃないだろうか?」「オカルトって何かやな世界だなあ」このケンヂ氏の印象が本書の印象である。

 ところで、なにが困るって、ここまで読んだ人は著者の志水氏が、バリバリのオカルト擁護者と思うであろう。それがまったく逆なのである。志水氏はたとえば1994年の科学朝日で、朝日メディカルの編集者久保田氏と一年間の対談を行い、オカルトをメタメタに切っているオカルト批判の人なのである。「UFOの嘘」「大予言の嘘」など、一連の疑似科学批判の著作がある。なかなかの見識を持った人物だと思える。しかし本書はいけない。本書を書いた理由は、大槻教授が嫌いだ、というこの一点しかないように思えてしまうからである。

 ところで先の久保田氏も科学朝日の3月号で、大槻批判の記事を書いているから、大槻さんは、そのあまりに断定的なオカルト批判のスタイルで、オカルト派は当然として、反オカルト派の一部の人にも反感を持たれているようだ。

 それでは志水氏は宜保愛子さんの超能力を認めるのかというと、かならずしもそうでないのは、上に述べた経歴からして当然であろう。実際、本のカバーには「この本は、宜保愛子さんを援護するためにかかれているのではありません」と書いてある。それじゃ、この本はなんなんだ。大槻さんに対する悪口の集大成でしかない。著者がどう思おうと、本書の果たす客観的な役割は、宜保擁護、オカルト擁護以外のなにものでもない。志水氏のこれまでの経歴に傷がつく本である。非生産的な、困った本である。


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