内容は表題のとおりである。宜保愛子さんの超能力とされるものを、物理学的に批判するものである。大槻さんはすべての超常現象を否定するわけではない。自発的な超常現象たとえば、火の玉とかポルターガイストは、自然現象として研究すべき価値があるとされる。実際、大槻さんは火の玉の物理学的研究の第一人者である。自発的でないものを誘導型と大槻さんはよぶ。これは超能力者と称する人が、念力やらパワーやらを放出して、異常な現象をおこす場合である。ところが誘導型にもふたつあって、その一つをエネルギー励起型、他方を情報励起型となずける。たとえば超能力でスプーンを曲げたり、時計を直したり、人を飛ばしたり、写真フィルムに感光させたりと、物理的な結果を生むものをエネルギー励起型とよぶ。情報励起型とは超能力者の言葉で病気を治したりする、いわば催眠暗示効果を用いるものである。
大槻さんはエネルギー励起型は絶対にないという。その例としては、ユリ・ゲラー、清田青年、それに本書の主題である宜保愛子さんなどがいる。大槻さんがこのタイプの超常現象を否定する根拠は、これらが物理学の基本原理と矛盾するからだ。
いっぽう、情報励起型は十分ありうる。病は気からという言葉もあるように、暗示効果で直る病気も多いのである。だから超能力者が心霊手術などするのはインチキだが、暗示効果で病気を治すことは不可能ではない。
そのようなことを踏まえて、大槻さんは宜保愛子さんの、さまざまな超能力を分析してそれらはインチキであると断定する。ウィッキーさんの家の遠隔霊視、ツタンカーメンの毒殺やダ・ビンチの過去霊視などテレビで取り上げられた例が多く紹介されている。これらはテレビのヤラセの部分が多く、視聴者はだまされることが多い。また宜保さんは人の背後霊をよく見るのだが、大槻さんはその矛盾をさまざまあげる。
このように大槻さんは、宜保さんをひとつの例として、エネルギー励起型の超能力のインチキ性を徹底的に糾弾するのである。評者は大槻さんの分析に基本的に賛成である。しかしながら、大槻さんには多少のいきすぎとか間違いもあったり、また、あまり断定的すぎるものだから、そこが反大槻陣営の恰好の標的にもなる。反オカルト陣営の貴重な人材であるから、活躍と同時に慎重な態度も望みたい。