本書の内容はその目次を羅列するだけで分かるであろう。日本人は、アメリカの「金権主義」にだまされている。アメリカのクビ切り経営のまねをして、それでも経営者と言えるか。IBMはいつから「人切り企業」になったのだ。クビ切り職人を会長に迎えたIBMを礼賛する、アメリカの異常さ。「人材」とは、社員を利益をあげるための「材料」とする発想。クビ切り企業の社長は、地下鉄通勤をしているか。・・・・・
要するに現在のアメリカは、トップ1パーセントの金持ちのための国であるという。また犯罪、銃、麻薬、教育の荒廃などを考えれば、アメリカは日本が真似すべき文明国ではなく、むしろとても野蛮な国だ。これらの言葉が、日本人ではなくアメリカ人のトッテン氏の口から出てくるところが興味深い。
ところで先のコンサルタント氏の言葉は、昨今、マスコミや他の評論家などからも聴かされる言葉である。トッテン氏の危惧は、そんな支配層のイデオローグの言葉が経営者に悪用されて、リストラとかリエンジニアリングと称する、聞こえは良いが、要するに首切りの道具にされることである。トッテン氏は日本の庶民の将来を真に憂えている。
私は英国にいたとき隣の主婦に、日本の受験戦争がいかに害悪を流しているかという、日本人の常識となっている議論をした。すると彼女は「じゃあどうして日本は英国よりうまくいっているの?」といった。彼女は日本の教育制度こそ、英国の真似るべきものだという意見を展開した。私は目から鱗が落ちる思いをした。外国人のほうが、日本人には見えない、事物の本質を見ている場合もある。私の意見と思っていたものは、実は識者の意見の受け売りにすぎないものであったのだ。それ以来、私はマスコミや評論家の意見には、眉につばをつけて聞くことにしている。