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平成20年度 厚生労働科学研究費補助金 総合研究報告書
厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)総合研究報告書
保健師・保育士による発達障害児への早期発見・対応システムの開発
本研究では、様々な領域の専門家が地域自治体と協力してモデル事業を営みながら、新しい発達障害児への早期発見・対応システムの開発に努めました。
3年間の到達目標は、(1)保健所の健康診断やフォローアップ健診で用いる実践的なスクリーニング法・行動評価法の開発.(2)保健師、保育士を対象とした教育研修システムの開発.(3)保育所における障害児と周囲の子ども達への指導法の開発.としました。
平成17年度には、(1)1歳6か月健診において要観察とされた子どもたちへの行動観察法の導入.(2)家族教育と専門職教育を同時に行う発達支援教室の開設.(3)多職種によるグループ行動観察.という3つのモデル事業を立ち上げました。
平成18年度には、これらのモデル支援事業の充実・発展をめざすとともに(1)兵庫県下の乳幼児健診に関わっている保健師を対象とした実態調査.(2)インターネットを使った発達支援教室運営の標準化.(3)行動観察DVDの制作と実用化に向けた保健師、保育士へのアンケート調査.(4)多職種によるグループ行動観察の中間評価を行いました。さらに、通常学級に在籍し、行動・学習上の問題を示す子どもたちの1歳6か月、3歳児健診での通過率を後方視的に検討しました。
平成19年度は、神戸市東部(灘区)において発達支援教室を継続運営するとともに、西部(須磨区)にも新たな教室を開設し、システムの普遍性について検証を行ないました。また、各研究者が分担し、(1)公立保育所における「発達が気になる子ども」の実態調査.(2)行動観察用DVDの改訂版制作(音声説明を加えた再編集、異常行動に関する解説の追加).(3)発達支援教室運営の手引きの作成.(4)2-4歳児を対象に実施した多職種によるグループ行動観察の最終評価と継続事例の検討.(5)研究成果を活かした乳幼児健診問診票の作成.(6)専門機関と家族が情報を共有するための「サポートブック作り方、使い方ガイド」の作成.(7)専門職研修に関する受講者からの評価についての検討.(8)保健師・保育士が発達障害児に関わる場合の主な役割と必要なコーディネーション能力についての整理.を行いました。
3年間の一連の研究・調査、モデル事業の実施によって以下の事項が明らかになりました。(1)多くの保健師(95%以上)が、乳幼児健診を通じて発達障害児(多くは自閉症児)と関わっているが、家族との関係構築、具体的な支援方法、自分自身の知識について困難を感じている。(2)通常保育の子どもたちの9.8%が発達上で問題を持っていると保育士は感じている。(3)保育士もまた具体的な指導法、家族との関係性構築のためのスキルを求めている。(4)現行の乳幼児健診で診断が可能な発達障害は自閉症児であり、行動観察法の導入など焦点を絞った健診システムが必要である。(5)早期発見だけではなく専門機関同士が協力して家族の気持ちに沿った支援体制づくりを実施することが必要であり、一つの手段として、家族が子どもの情報をサポートブックに纏めることを提案しました。(6)家族と支援者との交流に視点を置いた発達支援教室は、家族間の交流、専門職者と家族との関係構築、具体的な支援方法の教育・開発に有用でした。(7)TEACCHモデルを用いた個別発達支援教室を通じて、家族が利用できる具体的なツール開発法、個人の能力に合わせた指導の方法が提示できました。
これらの研究結果をもとに、(1)乳幼児健診問診票の開発.(2)1歳6カ月健診で要フォローとされた子どもたちを対象とした行動観察、チェックリスト教育用DVDの制作.(3)発達支援教室運営の手引きの作成.(4)「サポートブック作り方、使い方ガイド」の編集・出版.を行ないました。これらの成果はホームページからダウンロードできるようにしました。
一方で、本研究班で開発したシステム、ツールが子どもたちの長期的な発達予後に対してどのような効果をもつかは、今後の検討課題として残されています。 尚、神戸市に設けた計4か所の発達支援モデル教室(個別発達指導教室2か所を含む)は、今後、神戸市が行う発達障害者地域自立支援事業の一環として継続することとなりました。また、新しく開発した乳幼児健診問診票は、平成20年度から神戸市において導入されます。これらの継続事業を通じて、システム・ツールの評価を行なっていきたいと考えています。
【報告書】
・厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)平成17〜19年度総合報告書
・平成19年度総括分担研究報告書
【成果物一覧】
※クリックでPDFの表示、保存ができます。
<問診表>
・健康診査問診表(4ヶ月)
・健康診査問診表(1歳6ヶ月)
・健康診査問診表(3歳)
<総論・書籍>
・1歳半及び3歳児健診のポイント
・発達障害児早期発見行動観察マニュアル
※動画はこちら(WMV)
・軽度発達障害Q&A
・軽度発達障害とその対応
・健康な子ども
・就学前軽度発達障害児への評価と支援について
・就学前軽度発達障害児を対象とする相談事業の紹介
・発達支援教室マニュアル
<研究・発表>
・発達に遅れのある子どもとその家族支援に関する研究
・発達に遅れのある子どもとその家族支援に関する研究U
・幼児におけるボタンのかけはずし能力の発達に関する定量的研究
・極低出生体重児の模倣動作バイバイの発達について
・赤ちゃんのバイバイはいつから、どのようにするのか
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