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要素アトラクションE 乾燥特性モデル

著者の所属色分け→神戸大学(教員) 神戸大学(学生) 他大学 企業

 

改良材料温度変化法を利用した合成のり塗膜の乾燥速度測定 S

山本剛大相澤栄次今駒博信大村直人

化学工学論文集 352pp.246-251(2009)

要 旨

ポリエステルフィルム上にポリビニルアルコールを主成分とした市販合成のり塗布層を形成させた塗膜試料を,断熱材上に静置して回分式熱風乾燥実験を行い,放射温度計から得た試料表面温度履歴に蒸発総水分量を必要としない改良材料温度変化法を適用することで,乾燥速度の測定に成功した.異なる厚みに対して得られた塗布層の減率乾燥速度は,同じ平均含水率に対して,高含水率域で塗布層厚みが大きいほど低下し,低含水率域で変わらないという既往のポリビニルアルコール水溶液と近い結果であった.また,乾燥応力による物質移動促進効果を加味したFick型の拡散移動モデルに基づいた既往の乾燥特性モデルを用いて,本実測結果の相関を試みたところ結果は良好だった.

 

キーワード:塗膜,乾燥速度,放射温度計,材料温度変化法,ポリビニルアルコール

 

乾燥応力による物質移動促進を考慮した水系高分子塗膜の乾燥特性モデル SS

今駒博信

化学工学論文集 342pp.266-276(2008)

要 旨

Fick型物質移動が生じている平板に対する既往の乾燥特性モデルに顕熱と浸透期間を加味したモデル式を提案した.このモデルに,さらに乾燥応力に起因する物質移動促進効果を加味して新乾燥特性モデルを提案した.対象物質に応じて容易に変形し得る乾燥特性モデルの特徴と利便性ならびに汎用モデルとしての可能性を示す1例だろう.新乾燥特性モデルの妥当性を,ポリビニルアルコール水溶液膜に対する既往のFick式に基づくシミュレーション結果および実験結果と比較検討した.新乾燥特性モデルを用いた計算による乾燥速度曲線は,物質移動促進効果を考慮しない既往のシミュレーション結果およびこのシミュレーション結果とは一致しなかった既往の実験結果の両者と良好に一致した.さらに,仮想ゲルに対する新乾燥特性モデルの計算結果は,ゼラチンゲルに対する既往の実験結果を定性的に説明できた.また,実用レベルの塗布層厚みに対して促進効果のある場合とない場合の計算結果を比較したところ,乾燥終期においてのみ両結果の乾燥速度の差はきわめて大きかった.

 

キーワード:乾燥応力,塗膜,ポリビニルアルコール,ゼラチン,乾燥特性モデル

 

限界含水面後退モデルと線形推進力近似を用いた対流乾燥過程の汎用モデル化 SS

今駒博信

化学工学論文集 322pp.122-137(2006)

要 旨

既往の研究に基づいて,基本湿り材料である非親水性多孔平板,親水性多孔平板,高分子溶液膜の対流乾燥メカニズムを総括した後,蒸発面後退モデルを一般化した限界含水面後退モデルと線形推進力近似と乾き固体厚さ基準含水率の3者を適用することで,これまで別個の材料としてモデル化されていた基本湿り材料平板の対流乾燥過程に対して共通に利用可能な対流乾燥モデルを,簡便な形式で提案した.提案した汎用モデルは,既往の文献の乾燥速度データを良好に相関でき,その際に得られたモデルによる含水率分布の経時変化もまた,文献データの傾向を説明できた.本研究で提案した乾燥モデルが従来の乾燥特性曲線に代わりうる能力を有することを期待しつつ「乾燥特性モデル」と名づけたい.本研究の成果は,汎用対流乾燥モデル式の提案であるとともに,モデル式を導出するにあたって用いた現象の単純化に必要なツールの提案であり,これらのツールは他の材料や他の乾燥法への応用が期待できる.

 

キーワード:対流乾燥,限界含水面後退,線形推進力,乾燥特性曲線,乾燥特性モデル

 

高分子溶液塗膜の乾燥特性モデル(解説)

今駒博信

ケミカルエンジニヤリング 50巻 6pp.435-440(2005)

要 旨

乾燥特性モデルとは,筆者が最近提案した汎用対流乾燥モデルのことで,これまでの乾燥特性曲線や乾燥特性関数に代わって乾燥装置の簡便な設計計算に広く使われることを目的としている.乾燥特性モデルは,蒸発面後退モデルを一般化した限界含水面後退モデルと線形推進力近似と乾き材料長さ基準含水率の3者を適用することで,これまで別個の材料としてモデル化されていた親水性多孔体,非親水性多孔体,高分子溶液膜などの対流乾燥過程に対して共通に利用可能な対流乾燥モデルを,簡便な形式で提案したものである.本稿では,実用面を考慮し,基材上に塗布層を形成させた塗膜に対して顕熱を考慮した乾燥特性モデル式を紹介する.

 

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