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要素アトラクションE 材料温度変化法

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論文内容の自己評価

SS  たいへんよくできました

S  よくできました

無印  それなりにできました

 

 

塗膜乾燥における相関モデルの応用 SS

今駒博信

化学工学論文集 381pp.1-12(2012)

要 旨

本研究は,筆者らが主として化学工学論文集で公表してきた,バインダー乾燥偏析,材料温度変化法,乾燥特性モデルに関する諸研究の紹介と今後の展望,「相関モデル」をキーワードとして,塗膜乾燥のモデル化に対する視点から試みたものである.

相関モデルとは,塗膜乾燥における複雑現象に対する研究成果を,生産へ迅速にフィードバックする目的で,筆者らが最近提案したものである.ここでの相関とは,物質とエネルギー収支式に基づいた現象内変数の相互関係を意味している.移動メカニズムと移動物性値の全容が明確でなければ利用できない予測モデルに対して,相関モデルでは,収支を行う領域を適切に変えることで,移動物性値の一部(a)または全部(b)が,極端な場合は移動メカニズム(c)が不要となるため,研究成果の生産への迅速なフィードバックが可能となる.

本研究では,(c)の例として湿り材料温度変化を用いて乾燥速度を推定する「材料温度変化法」,(a)(b)の例として乾燥速度を用いて乾き材料内のバインダー偏析を推定する「バインダー乾燥偏析推定法」を紹介した.両方法ともに集中定数系モデルに基づいている.両方法を組み合わせることで材料温度変化データを用いたバインダー乾燥偏析の推定が期待できる.

 

キーワード: 塗膜乾燥,相関モデル,材料温度変化法,バインダー乾燥偏析推定法,集中定数系モデル

 

材料温度変化法を利用した水性揮発2成分系塗膜の乾燥速度測定 S

今駒博信長岡真吾・堀江孝史・吉田正道

化学工学論文集 361pp.64-69(2010)

要 旨

市販の水性アクリルエマルジョン塗料にエタノールを添加した水性揮発2成分系モデル塗料を,鉄板基材上に塗布した塗膜の回分式対流乾燥実験を行い,表面温度変化と質量変化を同時測定した.単独揮発成分系に対して導出された材料温度変化法の基礎式を揮発2成分系に拡張し,拡張式に実測した両変化を代入してエタノール添加水性塗料の水とエタノールの乾燥速度を求めることに成功した.

乾燥時の蒸発蒸気や湿り塗膜の組成分析を用いずに湿り成分毎の乾燥速度を測定できる本方法は画期的である.ただし,本方法は質量変化の測定可能な低風速熱風条件下での利用に限定されるし,揮発3成分系以上に対して直接的には利用できない.

 

キーワード

材料温度変化法,アクリルエマルジョン塗料,乾燥速度,揮発多成分,質量変化法

 

スラリー塗膜の乾燥速度と表面の光学特性

山本剛大相澤栄次今駒博信大村直人

化学工学論文集 353pp.297-303(2009)

要 旨

ミクロンオーダーの球形のポリメタクリル酸メチル微粒子をポリビニルアルコール水溶液中に分散させたスラリーを平面基材上に塗布した塗膜の乾燥速度を改良材料温度変化法により実測した.この際,乾き層中に空隙が形成され難いと想定される微粒子体積/ポリマー体積=0.25 - 1の範囲を対象とし,粒子径の影響も検討した.その結果,減率乾燥速度は粒子濃度の増加とともに低下した.その程度は粒子径が小さいほど大きかった.その際,空隙はほぼ形成されなかった.

また,先の乾燥実験で得た乾き塗膜表面の光沢度を実測し,微粒子体積/ポリマー体積と粒子径が光沢度に与える影響に関しても実験的検討を加えた.その結果,光沢度は粒子濃度の増加とともに減少したが,粒径による違いは小さかった.

 

キーワード:乾燥速度、材料温度変化法、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル,光沢度

 

改良材料温度変化法を利用した合成のり塗膜の乾燥速度測定 S

山本剛大相澤栄次今駒博信大村直人

化学工学論文集 352pp.246-251(2009)

要 旨

ポリエステルフィルム上にポリビニルアルコールを主成分とした市販合成のり塗布層を形成させた塗膜試料を,断熱材上に静置して回分式熱風乾燥実験を行い,放射温度計から得た試料表面温度履歴に蒸発総水分量を必要としない改良材料温度変化法を適用することで,乾燥速度の測定に成功した.異なる厚みに対して得られた塗布層の減率乾燥速度は,同じ平均含水率に対して,高含水率域で塗布層厚みが大きいほど低下し,低含水率域で変わらないという既往のポリビニルアルコール水溶液と近い結果であった.また,乾燥応力による物質移動促進効果を加味したFick型の拡散移動モデルに基づいた既往の乾燥特性モデルを用いて,本実測結果の相関を試みたところ結果は良好だった.

 

キーワード:塗膜,乾燥速度,放射温度計,材料温度変化法,ポリビニルアルコール

 

材料温度変化法を用いた水性アクリルエマルジョン塗料膜の乾燥速度測定とその妥当性

今駒博信長岡真吾相澤栄次山本剛大大村直人

塗装工学 4312pp.410-416(2008)

要 旨

市販の水性アクリルエマルジョン塗料膜を鉄板基材上に塗布した塗膜の乾燥速度を、材料温度変化法ならびに質量変化法で同時測定した。その結果両法の結果は良好に一致し、材料温度変化法の有効性が確認できた。この際、既往の材料温度変化法では不可欠だった蒸発総水分量を必要としない新方法の可能性が示唆された。

また、得られた厚みの異なる塗料膜の減率乾燥速度は、同じ平均含水率に対して厚みが大きい程若干大きくなる傾向となり、これは既往のポリビニルアルコール水溶液の場合の同じ含水率に対して小さくなる傾向よりも、既往のゼラチンゲルやアクリルエマルジョンのみの場合の同じ含水率に対して不変の傾向に近かった。また、実験データの相関に当たっては、筆者らにより提案済みの乾燥応力による物質移動を考慮した乾燥特性モデルが応用できる可能性が示唆された。

 

キーワード:材料温度変化法、アクリルエマルジョン塗料、乾燥速度、鉄板、質量変化法

 

材料温度変化法を利用した水系塗膜の両面熱風乾燥速度の測定

今駒博信長岡真吾瀧川悌二

化学工学論文集 336pp.586-592(2007)

要 旨

ガラス板または鉄板基材上に市販水性塗料塗布層を形成させた塗膜を,層表面および基材底面の両面より熱風乾燥した場合の乾燥速度を,放射温度計で測定した温度履歴と乾燥前後の質量差を用いる材料表面温度変化法を利用して測定することに成功した.両面で異なる温度の熱風を用いた場合でも塗膜内温度一様の近似は妥当であり,塗布層表面温度のみの温度履歴から得た乾燥速度は,層表面および基材底面の両面の温度履歴から得た速度とほぼ一致した.

 

キーワード: 塗膜,水性塗料,乾燥速度,放射温度計,温度変化法

 

温度変化データを用いた乾燥速度の測定

西村伸也瀧川悌二伊與田浩志今駒博信

化学工学論文集 332pp.101-106(2007)

要 旨

乾燥過程における材料温度変化を用いて乾燥速度を簡便に測定する方法を提案し,非親水性多孔平板であるガラス微粒子層の対流乾燥,伝導併用対流乾燥,および高分子溶液膜であるPVA水溶液膜の対流乾燥実験結果に対してこの方法を適用することでその実用性を検討した.その結果,水分蒸発を伴わない乾き材料昇温期間や材料温度変化がきわめて小さな微量水分蒸発期間を除いてこの方法の有効性が示唆された.この方法は質量変化法の適用が難しい高速熱風下で乾燥所要時間の著しく短い塗膜などの乾燥速度の測定に応用できると期待される.

 

キーワード: 対流乾燥,塗膜,非親水性多孔平板,乾燥速度,放射温度計

 

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